8部分:第八章
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でして」
中鷹家の壮麗な玄関で二人のその女は名刺を出していた。二人共見事な和服を着ており奇麗に化粧をして髪を整え実に気品のある格好である。
「お嬢様が習っておられるお茶の方ですか」
「左様です」
「お嬢様にはまだ御目にかかっていませんが」
二人はそれぞれ家の人に対して言っていた。その人は若く美しいが気品といったものはあまりない。割烹着を着ているところからどうやらこの家の使用人さんらしい。
「それでも。一度御目にかかりたいと思い」
「こうして参りました」
「そうだったのですか」
その使用人さんは名刺を見たということもありそれで納得したのだった。
「それで」
「はい。それでですね」
「お嬢様は」
「今出られる準備をされています」
使用人さんはこう述べた。
「丁度今から出られるので」
「そうなのですか」
「一体どちらに」
「大島画伯のお屋敷です」
二人はこの名前を聞いてその整った化粧の目の奥を光らせた。
「絵を習われているのと一緒に絵のモデルになられていて」
「左様ですか」
「はい、ですから今御会いするわけには」
「いえ、大島画伯ですね」
「その方ですね」
しかし二人はここで引き下がらずにこう言ってきたのだった。
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