7部分:第七章
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だが間はまた言った。
「この黒さがな。それに」
「それに?」
「塗り方だ」
今度はそれについて述べた。
「塗り方もな。やはり違うな」
「そうなんですか」
「丁寧に重ね塗りをしている。これがいい」
「重ね塗りですか」
「それはわからないか」
一瞬だけ相模に目をやって問うた。
「君には。それは」
「正直漆とか陶器とかに興味ないんですよ」
彼の返答は熱心な間と比べて実に素っ気無いものであった。
「それにわからないですし」
「残念なことだな」
「俺はそれよりも食べる方ですし」
言いながら早速また食べだした。奈良の野菜料理をである。
「まあ奈良の野菜もそこそこいけますね」
「そうだな。それはな」
それには間も同意はした。
「しかし。君は本当に」
「まあいいじゃないですか」
ここからはもう言葉を遮ってきた。
「今は仕事を終わらせる。それですよね」
「そうだ。早いが明日早速仕掛けるぞ」
「明日にですか」
「これもいつも通りの筈だが」
もう漆器を見てはいなかった。間に目を向けて問うてきた言葉である。
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