第十話:彼女等の正体
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ど、死神の話を聞いてマリスたんはマリスたんじゃなかったんだーって分かったの」
「……は?」
「だーかーらー! 此処に居るマリスたんは、マリスたんであってマリスたんじゃないの! 分からないの兄ちゃん?」
妹の発したこの説明を解読できる奴が居たら、俺は今為に溜めこんでいる小遣いを全額くれてやっても良い。
それぐらい意味が分からねえんだよ、楓子の言葉は。
マリスたんがマリスたんでマリスたんじゃない? それは一体何処で使用する暗号だ?
(……ノートか? ……! そうか!)
そうやって悶々としていたが、置いてあったノートを見たとき、漸く暗号の意味が解けた。
マリスであってマリスでは無い―――――つまり楓子は、マリシエルは自分の書いた設定がそのまま具現化したものだと思っていたのに、そうでは無く死神がマリシエルの姿を取って現れたのが、思っていた事と違う……と言う事を言いたかったのだ。
……おかしい……俺と楓子とマリスは、ちゃんと日本語で会話している筈だ。なのに何故通訳やら解読が必要な羽目に……?
頭を余計に重くしながら、俺はマリスへと言葉に含まれて真相を告げてやった。
「それで、殺戮の天使では無いと?」
「……この体は、肉体を持たない私が三次元化において存在する為に、体に纏った概念」
一瞬思考がフリーズしかけたが、マリスが先に語った死神の話を思い出し、結び付けてから何を言いたいかを理解する。
「幽霊を捕まえる存在なら、それと同等の存在だって事か。だがそのままだと此方へは触れられないから……」
「……そう、だから体を得た。もっと詳しく言うのなら、あなた達からは私達を見る事も声を聞く事も出来ないけど、私達からは見る事も聞く事も出来る……触れられないのには、変わりないけれど」
「なるなる! で、その体透けてたマリスたんは今、アタシのノートの設定を借りて体をゲットしたのね!」
「……そう……このノートに書かれた設定を借りて、あなた達と触れ合う事が出来る様になった」
此処まで聞き、俺はマリシエルがこの現世に降り立った理由が推測できた。寧ろ、ここまで聞いて分からなければ、話をよく聞いていない奴だと言う事にもなりそうだが。
「……けれども、元がどんな存在であったとしてもこのノートの設定を借りた以上、書いてある通りの力と姿を得て具現化した」
差し出すような形で構えられていたノートを受け取り中を見てみれば、俺の予想していた者以上のバカげた設定が所狭しと書かれている。
例えば『女神の聖天使・メープル』という、神なのかその使いなのかよく分からない奴の項には―――
“彼女には【超究覇王|滅閃《
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