第十話:彼女等の正体
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領域に足を踏み込んでいる事になるので、どっちにしろ頭が痛い。
「まずは、何が起こったのか、何故 “人の様な何か” が複数対現れたのか、そもそもお前らは何者なのか、それを説明して欲しい」
考える事を放棄し、俺は率直に気になっていた部分の内、重要だと思われる部分を抜き出して聞く。
「……私も、レクチャーしたいと思っていた」
「ああ、なら頼む」
正直言うと適当に会話内であしらって、すぐにでもここを追い出したい気持ちが無い訳でもない。
だがこいつ等を生み出したの一端を担ったのは楓子で、彼女は家族な為俺たちにも無関係とは言えず、オマケにもう五体も空の彼方へ飛び去ってしまっているし、現場に居合わせた以上何もせずにいるのは無責任だ。
止める事が出来る可能性があるのは、今超常の存在が此方側に付きかけている俺達だけだと言うのも、また変えられない事実なのだから。
「……一言で言えば、私は死神」
まずマリスが口にした一言に、質問との繋がりが見えず、俺は疑問を持つ。だが関係無い事柄では無かろうと、口を挟むことなく黙ったまま聞き続ける。
「……私の役目は、死を受け入れずに拒み、成仏できず現世にしがみつく魂―――幽霊を捕まえ、あの世へと送る事」
「無理矢理か」
「……そう」
『幽霊を捕まえ』と言っていたので、生きた者を捌いたり捕まえる権利は無いのだろうと推測できる。
「……死して尚彷徨う者はとても多い。私達の仕事は絶える事がない」
「まあ大往生なら兎も角、無念のまま亡くなったのなら、納得できそうにないが……」
「……中には何十年、更には何百年、私達から逃げ続けている魂もいる」
そこまで長々幽霊暮らしを続けて、希望を探し続けることの方が不毛にも感じられるが、もし死神にあの世へと送られたらどうなるかと考えれば……怖い事この上ないな、俺だって逃げる。
微かな希望が有るかもしれないのなら、往生際が悪かろうと百年以上逃げたくもなるか。
「死神って実在したんだね〜……でもあたし、マリスたんはマリスたんなのかと思ってたんだけど?」
「……? …………麟斗」
「ちょっと待っててくれ」
マリスが若干ながら―――本当に気の所為かと思うぐらい眉をひそめた。
だがすまん、俺もこいつが言っている事が分からない。何が言いたいのか一から探らねばならないんだ。
マリスはマリスなのかと思っていた、と言うのをちゃんとした言葉に変えるのなら………………いや駄目だ、何も浮かんでこねえ。
一応楓子の方を向き、訴えかけてみる。
「……さっきのはどういう意味だ?」
「だから、マリスたんはマリスたん何だと私は思ってたけ
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