第十話:彼女等の正体
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らよ」
楓子が妙な細工をした際に時間をかけぬようにと(実際馬鹿な事をしていたし)用意した三本であったが、結果的に功を奏したらしい。
にしても凄い勢いで飲み干していく。
自分が作っておいてなんだが、そんなに上手いのだろうか? 特別なモノなど何一つ入れていないし、製法も普通に混ぜるだけだと言うに。
まあ味の好みは人それぞれだ……『人』 かどうかはかなり怪しいが。
ふと、そこで彼女に対して気になる事が一つ浮かび、今度は一気にの不味半分残して机に置いたのを見計らい、質問する。
「マリシエル、でよかったか?」
「……マリスでいい」
「じゃあマリス、一つ質問する――― “鎌” はどうした?」
翼が自由に出し入れできる事は、先の戦闘モドキな小さい諍いで確認済みだ。
ひょっとすると、鎌もそういう仕様なのかもしれないが、念の為聞いておきたかった。
「……翼と同じ、邪魔な時は消せる」
便利なもんだ。折りたたむ、では無く完璧に消失させられるのだから。
「……あなた達の名前も聞いておきたい」
「俺は麟斗」
「私は楓子だよ! 楓子ちゃんもいいけど楓子たんとかでもいいし、メープルだともっと良いな」
「……?」
だから、初対面の奴に何故その馬鹿話が通用すると思っているのか。こいつの脳内ホントどうなってんだ?
大方自分の妄想から生まれたのだから、自分の話が分かって当然、とでも考えているのだろう。……相手が何者だったとしても、普通そんな思考へは行きつかねぇよ。
マリスの方はと言うと、案の定彼女の抱く機微など分かる筈も無く、無表情うのまま小首を傾げてやがる。
「楓子でいい。会話の返しで分からなけりゃ、基本俺に聞け」
「……わかった。よろしく麟斗、楓子」
素直に頷き、此方の名を呼び返したマリシエル。
やはりと言うべきか、話は通じそうだな。
「ハーイハイハイハイハイハーイ! 自己紹介も終わったし、私からラヴくてラヴ〜いマリスたんへ質問があります!」
「……何?」
「マリスたんは本当に私のマリスたんなんですか! それとも私のマリスたんとは違うんですか! と言うかぶっちゃけ、どっちでも愛しのマリスたんに変わりはぷん!?」
手等で脳天をぶっ叩いて、中身に乏しく重要性も無い言葉を止めさせる。
また、質問(の様な何か)の意味が分からなかったらしく、マリスは再び小首を傾げていた。
そりゃそうだわな。
如何言う意味か分からないと此方へその眼を向けて来るが、生憎俺とてすぐ理解できる筈もない。
説明する為考えるのも少々苦しいが、仮にもしすぐ理解できたのなら、俺はもう手遅れの
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