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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
37.獅子身中
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魔法のひとつ、烈風を巻き起こす『エアロ』がキラーアントを襲い、その動きが大きく鈍る。学術魔法の利点の一つ、詠唱破棄と自由度の高さによって、エアロは広範囲の敵の足止めを行っている。
 その隙に――キラン!と目を光らせたリングアベルが槍を腰だめに深く引いた。

「なんとなくではあるが、こういう奥義も覚えているんだよな……クレセントムーンッ!!」

 ダンッ!!と地面に深く踏み込み、遠心力と重量をたっぷり乗せた槍を横薙ぎに振るう。
 長いリーチを活かした薙ぎ払いは、その破壊力を存分に発揮して複数のキラーアントを粉砕した。
 周囲の魔物の全滅を確認したら、後は最後の一人の仕事が始まる。
 いつの間にかパーティリーダーになっていたティズが声を上げた。

「よし、魔石を回収しよう!リリ、お願い!」
「皆さまお強〜〜い!!いやぁ、こんなに力強いパーティにご一緒出来るなんてサポーター冥利に尽きますぅ!!」

 最後の一人――最近サポーターとして雇うことになった犬人族の冒険者、リリルカ・アーデだ。
 彼女は今までベルたちが慢性的に困っていた事態を一気に解決に導いた。……その背に背負う大きすぎるほど巨大なバックパックによって。

「いやぁ、本当に助かるよリリ!……俺達では持って帰れる魔石やアイテムの量に限りがあるからな」
「いつもありがとうね!はいコレ、向こうに落ちてた魔石!」
「あ、ベル様ったら!拾うのはリリの仕事ですってばぁ〜!!」
「あはは、まあいいじゃないか。皆で集めれば早く終わるんだし……苦労を分かち合えば、後の喜びも分かち合えるだろ?」
「ティズの言うとおりです。リリだけに負担をかける訳にはいきません」
「もう〜……しょうがない雇い主さんですね?ティズさん!さっき切り落とした『虫の触覚』は調合アイテムとして売れるのでちゃんと回収しておいてください!」

 リリは率先して物拾いを手伝うお人よしたちに苦笑いしながら、自分も荷物持ちの仕事を優先させた。
 その内心に、捨てられない冒険者への侮蔑と、いくばくかの心地よさを感じながら。
 
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