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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
37.獅子身中
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を貸すことが出来るんだ……と思う。推測だけで確かなことは言えないけどね。

 ……ええと、つまり何が言いたいのかというとだねぇ。
 本当にもし万が一この声が届いていたらなんだけど、あの子たちに力を貸してくれないか?
 ホント、こっちからは頼む事しか出来ないし、向こうにいるキミに返せるものなんて何もないんだけどさ………今じゃなくてもいい。いつかその時が来たらでいいから……助けてあげておくれ。


 ……本当にこのペンダントって異世界に声が届いてるのかなぁ?
 まぁいいや、気休めでもやっておいたほうがいいし。
 悪かったね、アニエスちゃん。呼び止めてさ。



 = =



 ヘスティア・ファミリアは変わった。
 戦い方、メンバー構成、収入、生活スタイル、あらゆる面が変わった。
 その変化の切っ掛けになった1人――ティズは、ベルとアイコンタクトを取って、同時に目の前の魔物――キラーアントの方へと突っ込んだ。

 キラーアントは名前の通り蟻型の魔物で、硬い甲羅と凄まじい顎の力が相まって面倒な相手だ。
 それまでの上層魔物と一線を画した手ごわさから、新米冒険者ほどこれに殺されやすい「新米殺し」だ。しかし、ティズは新米だがキラーアントとの戦い方は知っている。
 ティズは剣を素早くキラーアントの触覚を斬り飛ばし、動きが緩んだ瞬間に横に回り込んでからの隙間を正確に剣の切先で貫いた。
 
「はぁぁぁぁぁッ!!」
「ギギギッ!?」

 腹部に侵入した刃がキラーアントを瞬時に絶命させる。
 触覚は虫と同様、魔物にとっても重要な器官らしい。だから触覚を斬ることでキラーアントは一時的なパニックに陥る。そして身体の甲羅に反して、触覚を斬るのはその的の小ささを度外視すれば容易な事だ。
 ティズはその弱点を的確に突くことで、キラーアントを確実に仕留めていく。
 時には複数のキラーアントをパニック状態にさせて同士討ちを誘い、その隙をついて更に魔物を仕留めるという技巧派の戦い方さえしてみせていた。

 対し、ナイフの性能とぐんぐん伸びるステイタスを持ったベルは、速度任せに素早くキラーアントの攻撃を躱し、構造的に最も斬りやすい首元や腹の継ぎ目を一撃で斬り飛ばす。ティズよりもステイタスが高いが故に出来る芸当だ。

「次っ!!お前だ!!」
「ギイイイイイッ!?」

 ダンジョン内を撥ねるように駆け回る姿はまるで兎だが、決して考え無しに動いている訳ではない能力的に劣るティズのカバーと撹乱を兼ねているのだ。そう、後方に控える『3人』が動きやすくなるように。

 後方には――槍を構えたリングアベルと、杖を翳したアニエスの姿があった。

「虫相手には余り効果が望めませんが……エアロ!!」

 アニエスが使える数少ない
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