4部分:第四章
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か」
「はい」
間の言葉に対して頷く相模だった。こうして二人はまず奈良市郊外のその画伯の屋敷に向かった。そこはよくある静かな住宅地だった。
並ぶ家々を見て相模は。間に対して話してきた。
「とりあえずここは静かですね」
「そうだな」
「鹿もいませんし」
鹿のことを不意に出してきた。
「それでかなり静かですね」
「鹿か」
「ええ。あんなに来るとは思いませんでした」
先程の鹿達のことを思い出しかなりうんざりとした顔になっていた。
「周りから次から次にって」
「それが奈良の鹿だ」
「そうなんですか」
「そしてだ。気をつけるようにな」
「気を!?」
「そうだ。いらぬ悪戯をする」
「ええ」
相模は間の言葉が何処か剣呑なものになってきているのを感じ取っていただがそれがどうしてかまではわからなかったのだった。
「するとだ」
「どうなるんですか?そうしたら」
「復讐をされる」
そういうことであった。
「隙を見せた時にな。その角でだ」
「鹿の角でですか」
相模もその話を聞いて剣呑な目の色になった。
「またそれはえらく物騒ですね」
「角がなくても鹿の頭突きは利く」
彼はこうも述べた。
「体重をかけてくるからな」
「またそれは碌でもない生き物ですね」
「なまじ人馴れしているからそうなる」
「ですか」
「そうだ。だから用心するようにな」
「わかりました。じゃあ奈良の鹿にはちょっかいを出しません」
「それが賢明だ」
相模のその言葉に対して頷くのだった。そしてそのうえでまた相模に言うのだった。
「君子危うきに近寄らずだ」
「そういうことですね。じゃあまあ」
「そうだ。仕事の話だが」
「特に何か感じますか?」
相模は周囲を見回しつつ間に対して問うた。周りにあるのは立派な家々とその家々を取り囲む塀、それにそこにある木々だけである。妖しいものは見えもしないし感じもしなかった。少なくとも彼は。
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