本編
第五話
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れ以上開くことは無かった。その口と共にそっと瞼を落とし、ただ静かにルイズの声に聞き入った。
「我の運命に従いし、使い魔を召還せよ!」
呪文の完成、そして扉は再び開かれた。
そっと目を開けて、ルイズの魔法の成功を見届けたヴァリエール婦人は胸の奥から込み上げてくる感情を噛み締めていた。
と、ここで魔法を完成させたルイズ本人はというと、目の前に現れた扉を見て感動を覚えた次の瞬間には冷静になっていた。
―――これ、誰か向こうからくぐってきたらかなりマズイんじゃ…
ルイズの後ろで、感動に震えている両親を尻目にルイズの頭の中では、誘拐、拉致、犯罪、前科持ち、そんな言葉ぐるぐると回っていた。そこらへんにいた、犬や猫ならまだなんとかなる、いやもし誰かのペットとかであったなら犬猫でも窃盗罪になる、それよりなにより人間が通ってきてしまうことがルイズにとって不安だった。慌てて扉を消そうとしたルイズだったが、出し方は知っていても消し方を知ら無かったルイズの内心はダラダラと冷たい汗が流れ続けていた。
そんなルイズの心境を無視して、少し床から浮いていた所にあった鏡面のようなその扉の中心に波紋が生まれた。そしてその波紋の発生源からニョキリと黒い棒のようなものが生えてきた。だんだんと全容が見えてきたその棒は、何か細長い物が入った布の袋であることにルイズは気が付いた。はいアウトー、完全に人工物だわこれ、と、ルイズは半ばやけになっていた、これで自分も犯罪者の仲間入り、次元規模の誘拐だからたぶん地球の警察じゃなくて、友人たちが所属する時空管理局に捕まるんだろうなー、などと諦めの境地に至っていた。
「痛ッ!」
ルイズが意識を飛ばしている間に、扉から先ほどの棒状の物の所有者がペッと吐き出された。空中に浮いている出口から落とされた為にバランスを崩して、頭から落ちたその人物の痛みに呻く声を聞いて、ルイズは正気に戻った。あー、そういえば私も頭からいったわね、といった現実逃避を振り払いルイズはまず謝罪の言葉を発する為に、その人物に目をやった。そして口を開きかけて、その人物の正体に気が付いて固まった。
「あれ、ルイズじゃん。自分家に帰ったんじゃないのかお前?」
「なっなななな」
「な?」
「なんであんたが出てくんのよおおおおおおおおおおおお!?」
そこにいたのは地球での友人の一人、魔力の欠片も無い癖にただ我武者羅に前に進もうと努力してたその友人が出てきたことによるルイズの驚きの声は屋敷中に響き渡った。
「なんでって言われても、何か変な鏡みたいなやつに吸い込まれたと思ったらここにいたんだよ。というかここどこだ? あ、もしかしてミッドチルダとかいう世界か?」
事態の深刻さを理解せずに、呑気な言葉を放つその青年の姿を見て
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