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女人画
3部分:第三章
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そうですね、消え方は同じでも」
 それは同じでも、だ。時間から見れば。
「少なくとも誰かが関わってる事件には思えませんよ」
「人が関わってるようにはな」
「その通りですよ。けれど人が関わっているのは間違いない」
「大島画伯がな」
「一体全体どうやって消してるんでしょうね」
 相模は公園を行き来する人々を見ていた。流石に今は誰も消えないようだった。
「そして何の目的で」
「よからぬ目的なのは間違いないな」
 それだけは察しがつくのだった。
「それだけはわかる」
「それがわかれば充分ですかね」
「充分なのか?」
「少なくともどういった人間かは調べやすいですよ」
 これが相模の考えであった。
「まあちょっと先入観が入りはしますけれどね」
「君はそれが問題なのだが」
「まあまあ」
 今の間の言葉には笑って返すのだった。
「そんなことは仰らずに」
「だが。先入観はだな」
「目を曇らせるってことですよね」
「それは何度も言っているな」
 間の言葉が厳しいものになった。
「いつもな。目が曇っていては解決できる事件も解決できはしないと」
「まあそれは」
「今回は解決できる事件だ」
 間は言った。
「それが解決できないのは探偵として無能という他ないのだ」
「ですね。それはわかっていますよ」
「わかっているのかどうか不安だが」
 それでもであった。今彼が言うことはこうであった。
「しかしだ。とりあえずは調べよう」
「もう行方不明になった女の人達の身元調査はやりましたよ」
「そうか」
「まあまちまちですね」
 こう間に述べる相模だった。述べながら丁度自分の側を通り過ぎる鹿を見る。あの奈良の鹿である。春日大社の神獣で一応は尊いとされている。ただしあまりにも傍若無人な態度なので地元の人達には全く好かれてはいない。そうした鹿達である。
「中学生もいれば奥様もいて」
「四十代の人もいたな」
「ええ。本当にまちまちです」
 間に話しながらその鹿の頭をそっと撫でるのだった。

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