2部分:第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二章
「不可思議だと思われますか?これは」
「それを不可思議と言わずして何と言いましょう」
こう述べるしかない話であった。
「そういったことを不可思議と言わずして」
「そうですね。こういったことが複数起こっているのです」
「それが三桁ですか」
「そうです。公にはされていませんが」
だがそれでも事実は事実なのだった。残念なことに事実は全てが公にされるとは限らないのである。
「マスコミには報道されていません」
「マスコミは最近信用をかなり失墜させていますが」
マスコミは自分達にとって都合のいい情報しか流さないというのは残念なことに多くの人間が指摘することである。由々しき事態ではある。
「ネットでは公にされていなくとも」
「ええ。話が出だしています」
「やはり」
聞く方はそれを聞いて頷き納得した声をあげた。
「そうですか。やはり」
「一刻の猶予もなくなりましたので」
「それで私に事件の解決を依頼したいというのですね」
「宜しいでしょうか」
話す方もその声が怪訝なものになってきていた。
「それで。報酬ですが」
「お幾らで」
「一千万、いえ」
一千万はすぐに否定された。
「それを前金として」
「前金ですか」
「成功したならばもう一千万。これでどうでしょうか」
「合計で二千万というわけですか」
「そうです」
単純な計算として出て来る答えであった。
「それで。如何でしょうか」
「はい、それでは」
聞く方はあっさりとした感じでその金額で納得したのであった。
「それで御願いします」
「そうですか。引き受けて下さるのですか」
「随分奇妙な話です」
彼は言った。
「そう。解決せずにはいられない程の」
「解決せずにですか」
「世の中というものは常識だけではできておりません」
彼は言うのだった。
「時として非常識も加わるものです」
「時としてですか」
「そうです」
こう述べるのであった。
「そして私はその非常識にこそ興味があります」
「それにこそ、ですか」
「常識だけで解決できるのならば世の中は何と詰まらないものでしょうか」
こうも言うのだった。
「そうれではないからこそ面白いのではないでしょうか」
「ふむ。そうですか」
「それが私の考えです」
また述べたのであった。
「それこそが」
「そうです。この間三郎の」
ここで彼の顔が浮かび上がった。黒い髪を奇麗に分けた細面の美男子である。背広の上からトレンチコートを着ており知的な笑みを浮かべている。
「考えです」
「では。宜しく御願いしますね」
「はい。確か大島氏の住所は」
「奈良です」
「そうでしたね」
「はい。奈良市にいます」
その住所まで述べられたのだった。
「わかりまし
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ