その9
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、少年が沈黙する。
そして低い声で提案してきた。
「……あんたの頼みを引き受けてやる。要はそいつの監視をすればいいんだろ。そいつが九尾を外に出さないように。なら、俺もあんたに条件がある」
ふてぶてしい少年の態度に自来也は少し口元を苦笑させた。
これほど幼いというのに、このふてぶてしさはまさに『うちは』そのものだ。
脅してやったというのに、怯む事なく自来也を睨みつけている。
「なんだ」
「あんたと繋ぎを取る手段が欲しい。そしてオレを弟子にしろ」
少年の言いぐさに自来也は束の間放心した。
そんな事を言い出してくるとは思いもしなかった。
一体何を考えているのだろう。
「繋ぎの手段については全然構わんが、ワシの弟子になりたいという態度ではないのう。お前、何を考えている」
自来也の問いかけに、不敵と評するのが相応しい、けれどどこか追い詰められた印象の笑みを少年が浮かべる。
ぎらぎらと憎悪に輝く瞳に自来也の胸に一抹の不安がよぎる。
本当にナルトの側にこの少年を置いておいて良いのだろうか。
「あんたの頼みは化け狐の力を暴走させるなって事だろ。だったら、オレが化け狐の力を抑えられるようにならなきゃ、オレがそいつを監視する意味はないだろう。違うか!?」
「いや、そこまで望むつもりはなかったんじゃが……」
そこまで本格的にこの少年をナルトの監視役とするつもりはなかった自来也は、少年の言葉に面喰い、少し考えた。
「それともオレじゃ役不足だとでもいうのか!?」
少年の剣幕に自来也ははっとなった。
無意識に発動させてしまっているのだろう。
不完全ながらも少年の瞳には紛れもない写輪眼が浮かんでいた。
その瞳に自来也の心が揺れる。
写輪眼を用いた瞳術を得意とするうちはの血族を導くには、幻術を苦手とする自来也は不適な存在だ。
だがしかし、九尾をねじ伏せる手札としては、うちはの血は魅力的だ。
そしてこの少年を導けるだろう相手に縁がないわけでもない。
数奇な事に、その縁もまた四代目が繋いだ縁だ。
うちはだからこその懸念と、少年自身が持つ闇に懸念がない訳でもないが、ナルトが友としたこの少年に賭けてみるのもまた一興。
何より、この縁が未来への芽を蒔く事に繋がるのならば、それもまた良し。
これも何かの巡り会わせなのだろう。
完全に心が定まった自来也は、小さく笑みを溢した。
「あいにくワシは忙しくてのォ。忍びにもなれていない相手を弟子にする余裕はない。だが、お主が忍びとして見どころがあるというなら考えてやらんでもない。それにワシとの連絡役もつけてやる。何かあればワシを呼べ」
不満そうに見上げてくる少年に、自来也は黙って微笑み、繋ぎ役と顔合わせさせる為に口寄せを発動させた。
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