その9
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くナルトは里に牙を向かない。
里に牙を剥かぬ為に、里人に関わらねばならないと理解していたナルトが、自分自身で見つけた繋がりだ。
それは強くナルトの心を掴んでいるだろうし、現にこの少年の為にナルトは動いた。
自分の為には動きもせず、ただじっと耐える事しかしなかったのに。
ならば、そこまでナルトが大事に思う人間には、出来ればナルトの側に居てやって欲しかった。
「お前が復讐を選べば、ナルトがこの里を滅ぼす事になってもかのォ?」
「は!?」
自来也の言葉に、少年が呆気に取られた表情になる。
そして直ぐに怒りを露わにしてきた。
「何でオレがそんな事気にしなくちゃなんないんだよ!オレにはそいつが何をどうしようが関係ない!オレの邪魔をするな!!」
「……この子の境遇を見て見ぬ振りをして、放って置いたワシが言う事でも無いがのォ。お前に切り捨てられたら、この子はまた一人になってしまうのォ……」
落胆を滲ませた自来也の呟きに、少年はぴたりと口を閉ざして沈黙した。
面白くなさそうに顔を歪めてはいるが、様々な感情に少年の瞳は揺れている。
少年にも、ナルトに対する何らかの感情はあるようだった。
少なくとも、即座に切り捨てられる程度の物ではないらしい。
ならば、付け入る隙はまだある。
その事に希望を持った自来也は、少々小芝居をし始めた。
落胆を装って溜め息混じりに言葉を吐き出す。
「ワシはお前を男だと見込んでおったんじゃがのォ。見込み違いじゃったかの?」
負けん気の強そうな少年は、自来也の挑発に素直に反応する。
唇を噛み締め、きつい眼差しで睨みつけてくる少年の気概に笑みがこぼれそうになった。
「そうか。ならばこの子を守ってやってはくれんかの」
「何でオレがそんな事をしなくちゃならない!」
心底不満を露わにする少年は、どうやらナルトの事を知っている訳ではなかったらしい。
てっきり、自来也は知っている物とばかり思っていた。
「坊主。お前、知らんのか?」
「何をだ!」
苛ついた少年の幼い声で問い詰められた自来也は、沈黙した。
確かにナルトの側に居てやって欲しいとは思ったが、ナルトの事情を少年が知らないとは思いもしなかった。
となると、ナルトはそれほどこの少年に気を許してはいないと言う事だろうか。
とは言え、この少年を気にかけているのは確かだろう。
あるいは、三代目の言い付けを忠実に守っているかだ。
ならばこの少年に知らせてしまって良いものか……。
子供とは言え、この少年は男だ。
そしてナルトは女だ。
知らせてしまえば、嫌でも無視は出来なくなるだろう。
だが、いたいけな少年の心をいたずらに掻き乱す事にもなりかねない。
悩む自来也に、何かに気付いたらしい少年の、面白くなさそうな声がか
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