第三十一話 菊池中尉!金魚すくいはスポーツだ!!その八
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「彼等の出す結論は常に前向きだ」
「前向きでもいいとは限らないですね」
「この作品は人生、社会のそうしたことも教えてくれるんですね」
「いや、凄い作品ですね」
「これは日本国民必読の作品ですね」
さりげなく宣伝も入る。
「そうしたこともわかったうえで」
「それで、ですね」
「これからおかげ横丁まで行って」
「まずは伊勢の山海の珍味を楽しんで」
変身しない本来の姿でだ。
「それから勝負して」
「勝って若木萌さんの写真集とDVDもゲットして」
「全部楽しむ」
「そうしてきます」
こう言って二人は意気揚々と伊勢に向かった、その頃西郷は陸軍衆の桂と大山に対して言っていた。無論瞬も一緒だ。
「今回の勝負の場は伊勢でごわす」
「はい、あの聖地ですね」
「あの場での戦いですね」
「これまでも神社仏閣の中で勝負してきたでごわすが」
しかし、というのだ。
「これまでとは違うでごわす」
「伊勢神宮は皇室の社」
「それだけにです」
「これまで以上に神経を張ってですね」
「場を荒らさない様にしないといけないですね」
「そうでごわす」
まさにというのだ、西郷は。
「皇室に失礼があってはならないでごわす」
「承知しています」
瞬もだ、陸軍衆の敬礼で応えた。着ている服は今は陸軍衆大将のものだ。
「菊池茂中尉と共に」
「それならばでごわす」
「社もその周りも決して荒らさず」
「礼節も失わない」
「そうしていきます」
「勝負の後楽しんでもいいでごわすが」
それでもというのだ。
「やはりでごわす」
「決してですね」
「マナーを守るでごわす」
これまで以上にというのだ。
「日帝衆に相応しい行動をするでごわす」
「畏まりました」
瞬は西郷に再び敬礼で応えた。
「ではこれより」
「出陣でごわすな」
「伊勢神宮のおかげ横丁まで」
「勝負の種目はわかっているでごわすな」
「金魚すくいです」
このこともだ、瞬はわかっていた。
「日帝衆一の祭りの達人菊池中尉と共に行って来ます」
「菊池中尉はテキ屋の家に生まれたでごわす」
ただしヤクザ屋ではない、テキ屋からヤクザ者になったことは多いが彼の家はそうではなかったのである。
「それだけにでごわす」
「ヤクザ者ではない」
「ヤクザは何か」
西郷が言うそれは。
「一言で言えるでごわす」
「ならず者ですね」
「日帝衆はならず者ではないでごわす」
では何かというと。
「武士でごわす」
「だから菊池中尉もですね」
「ヤクザではないでごわす」
武士に他ならないというのだ。
「そうでごわす」
「その通りですね」
「では武士として」
「はい、金魚すくいも」
「勝って来るでごわす」
こう瞬に言うのだった。
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