14部分:第十四章
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開いた。そうして屋敷が急に女の人達の声で騒がしくなってきたのだった。
「あれ!?何故この屋敷にまた」
「家に帰った筈なのに」
「あの絵から出て来ているみたいですね」
相模はその声を聞いて言った。
「どうやら」
「そうだな。画伯がいなくなり絵の魔力が消えた」
だからなのだった。
「それによってな」
「はい。それじゃあ後は」
「私達の仕事は終わった。帰るか」
「ですね」
二人は折れた筆は拾って間のライターで火を点け燃やしてそのまま消し去ってしまった。それから間は己の刀を拾って治めるとそのうえで二人で姿を消した。その後の騒動は二人の知ることではなかった。
仕事が終わった次の日。間は旅館を後にしようとするが相模はそのまま残っていた。
「本当に残るんだな」
「奈良で遊びたいですから」
旅館の部屋で洒落た服に着替えながら間に答える相模だった。
「そういうことで」
「何日で帰ってくるつもりだ?」
「三日ですかね」
少し考えてから答えた相模だった。
「多分」
「多分か」
「一週間もかからないですよ」
「一週間も開けるのは流石にどうかと思うがな」
一週間と聞いては流石に間も顔を顰めさざるを得なかった。
「流石にそれはな」
「そこまではないですから」
「だといいがな」
「それじゃそういうことで」
相模は能天気な笑みを浮かべながら宿の部屋を出ようとする。畳の部屋には相模の荷物が置かれたままになっていた。
「行って来ます」
「報酬は普段通りでいいな」
「はい、それで御願いしますっていうか」
ここで話を変えてきた相模だった。
「そうしてもらわないと困りますから」
「いっそのこと事務所の机の中に現金で置いておこうか?」
「だったら京都に戻らないといけないじゃないですか」
「戻ったらどうだ?」
かなり冷淡な間の言葉だった。
「いっそのこと」
「じゃあ何の為に仕事やったんですか」
こう言って口を尖らせる相模だった。
「遊ぶ為じゃないんですか?」
「一度そういう考えをなおした方がいいのではないかと思うがな」
「まあそれは言わない約束で」
それは聞くつもりはない相模だった。
「じゃあお金のことは御願いしますね」
「ああ、わかった」
渋々ながら頷く間だった。
「じゃあ早いうちに帰って来るようにな」
「さもないと役さんとこの事務所に仕事を持って行かれますしね」
「今あの二人はフランスに行っているがな」
「フランスですか」
「だから暫くはいないがな」
こう相模に述べた。
「それでもだ」
「わかりました。じゃあ早いうちに帰りますんで」
「そういうことでな」
こう言い合って別れる二人だった。相模は奈良の街に出て間は京都に帰る。謎は解けて今はそれぞれ晴れやかな
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