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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第八話:非日常への第一歩
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あの姿では無く、何かしらの要因によって生まれ変わったのか?”



 本当に突拍子もないが……しかし俺という前例がある以上、そしてここが俺のいた世界とは僅かにでも(ことわり)が違う以上、絶対にあり得ないと言う方があり得ない。


 俺が普通の人間に生まれ変わっただけで、彼女等もまたそうなるとは、保証されていないのだから。



 されどそうなると、死神と言う言葉が混じったのが気になる。
 俺は行き成り転生してしまったのだから、死神に会うもクソも無かったのだが……彼女等は違うのだろうか?
 そもそも彼女等の居た場所が、俺のいた世界と同じ世界である可能性は?


 尤も、これも憶測の域を出ない為、決めつけられる事でもなければ、まだ俺自身すら信じ切れる答えではない。


 乏し過ぎる状況証拠から、自らが出せる最善の答えを出そうと四苦八苦しているその最中、何と四体目まで現れた。


「チッ……キリがねぇ」
「…………」


 整った顔立ちではあるが、整い過ぎている所為かそれとも目立った特徴が無いからか、記憶に残りにくい容姿をしている人物だ。


 無口な方なのか今度は何も喋ること無く、行き成り俺の方へと一直線に歩いてきて、何故だか悲しそうな目でこっちを見た。


 何に対して悲愴を感じているのかは分からないが、得体の知れない者にジロジロ眺められていい気分などしない。


「……何だ」
「……」


 だが、俺が言葉を発した瞬間、その悲愴感ある表情が更に歪む。


 彼女に何があったのか、向こうは何も言葉を発さないし、俺にだって知る術は無い。


 と―――行き成り俺の方へと手を伸ばして来た。下手に腹って事を荒立てないようにと、左手を出して軽く止めるだけにに留める。


「っ……」


 その所作でますます彼女の顔を、悲しみが覆って行くように感じられた。
 結局……最後まで無言のまま、四体目も空へと飛びあがっていった。

 一体何だったのだろうか?


 手の届かない上空で1人を除いて楽しげに、くるくる天を舞うロザリンド達を見ていると……後ろから途轍もないうるせえ大声が掛かった。


「待たせたな! 麟斗! 楓子!」


 何をしていたのかと見てみれば、手には台所にある味付け用の塩が入った袋が握られ、格好も仕事の際に着る宮司の格好となっている。


 親父は怪異を前にしようとも、持ち前のその豪胆さをいかんなく発揮し、塩を一掴みして振りかぶった。


「悪霊退散!」


 そう言いながら塩を放つ……が。


「祓い給え!」
「さて諸君、これからどうするべきだと思う?」
「浄め給え!」
「キキは好きにやるわ、剣姫」
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