Fate/stay night
1100話
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あんた程強力なサーヴァントも中々いないわ。こう言っちゃなんだけど、この聖杯戦争を勝ち抜くのにかなり有利になったのは事実よ。……まぁ、聖杯戦争は魔術師同士の殺し合いだから、あんただけじゃなくて、私も戦う必要が出てくるけど」
正直な気持ちとしては、所詮人間でしかない凛には大人しくこの屋敷で待っていて欲しいという思いもある。
何しろ、サーヴァントと魔術師が戦って勝つなんてのは、まず不可能と言ってもいいのだから。
けど、少し話しただけで分かる。凛の性格から考えて、絶対に屋敷で守りに専念するという風にはしないと。
「……ところで、今更だが聞いておくか」
「うん? 何よ?」
「いや、凛は何を求めて聖杯戦争に参加するのか、とな。何か欲するものがあるからこそだろう?」
だが、そんな俺の言葉に凛は何でもないかのように首を横に振る。
「別にないわよ?」
「……は? いや、待て。何か望みがあるから聖杯戦争に参加するんだろう?」
「別にそんなんじゃないわよ。ただ、手に入れられるなら貰っておけば何かの役に立つかな、とは思うけど。それより、あんたの方は何を聖杯に望むのよ? それこそ、何か望みがあって……いえ、こう言えば返ってくる言葉は決まってるか」
既に諦めたと言いたげに告げる凛に、小さく肩を竦める。
「まぁ、そうだろうな。俺が記憶を失う前に何を聖杯に願っていたのかは分からないが、今は特に何かを願うって気持ちはない」
「受肉……とかは、必要ないだろうし」
そもそも、何をどう間違ったのか、現状で既に受肉しているからな。
「ま、おかげで魔力の消費は少ないどころか、アークエネミーの方から送られてくる分で圧倒的に収支はプラスだし。……ちぇっ、本当ならここの片付けをやらせようと思ってたんだけど、ここまで魔力を貰っちゃそれも悪いわね。私も手伝うから、さっさと片付けちゃいましょ」
そう告げ、えいやっとばかりに何かの破片を持ち上げる凛。
……ここの片付けを俺だけにやらせる気だったのか……
そう呆れつつ、凛の方へと手を伸ばす。
「凛?」
「うん? 何? ……何よ、その手」
「この聖杯戦争、俺達が勝ち抜くぞ。よろしく頼む。お前のようなマスターを持てて、俺はきっと幸運なんだろうな」
「っ!? な、何よいきなり。……その、よろしくねアークエネミー。記憶、取り戻せるといいわね」
そう言いながら、俺の手をキュッと握りしめるのだった。
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