第十五話 恐れを抱く者
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た。
そんな彼らをよそに、リュウヤが手をパンパンと叩く。
「ハイハァ〜イ、俺のことは置いといて……、ここで、耳打ちな情報をお伝え、提供するリュウヤネットから新たな情報を伝えるぞ〜!」
誰もついていけないリュウヤのテンションだが、リュウヤは構わず芝居がかった口調で続けた。
「今、なんとここ《思い出の丘》で無料で受け取れるアイテムがあるんです!それは……ジャジャーン、これです!回廊結晶〜!」
テレレレッテレー、と言いながらリュウヤがパーカーの内ポケットから取り出したのは、転移結晶より深い青を輝かせる回廊結晶。
「しかぁし、これそのものが受け取れるワケではございません。これは依頼主が全財産をはたいて買った物でして、お譲りはできませんしねぇ。
けれどご安心ください、これを使って飛ぶ先はなんと、黒鉄宮の監獄エリアでございま〜す。つ・ま・り、受け取れるのは牢屋行きのチケットです!
これがタダで受け取れるんですよ?すごくないですか?」
どうです、お得でしょう? と言うリュウヤに、我に帰った盗賊たちが一様に不快感をあらわにする。
そしてロザリアが口を開いた。
「要らないわよそんなの。ていうかバカにしてるの?」
「いやいや、そんなワケあるに決まってるじゃないですか」
「あるんですね……」
口をついて突っ込んでしまったシリカをロザリはキッと睨んだ。
「チッ」
不意にロザリアが舌打ちすると、転移結晶を取り出し、宙に掲げ口を開く。
「転移ーーー」
だが、その言葉が全て声になり終わる前に、リュウヤが腕を一振りする。すると、掲げられた転移結晶がロザリアの手から弾かれた。
「なっ……!?」
ロザリアの驚きとともに転移結晶は宙高く舞い上がり、リュウヤの手元に落ちる。それを器用にキャッチし、ラッキーと口にしてリュウヤは転移結晶をポケットへ入れた。
「おばさん、人の話は最後まで聞こうね。ここからが本題なんだからさ」
やれやれと肩を竦めるリュウヤにロザリアがワナワナと体を震わせる。
それを気にせずリュウヤはニヤリと笑みを浮かべた。
「ここでもう一つ、お伝えすることがあります。牢屋行きのチケットなんて欲しくねえよ!なぁんて方もいらっしゃいますよね?ご安心ください、まだありますよ!」
リュウヤは回廊結晶を手で弄びながら盗賊たちにそれを見せびらかす。
「牢屋行きは嫌だ、なんて言う方はここから去っても構いません」
この言葉に、シリカもロザリアたちも目を見開いた。
その後の反応は二手に別れた。盗賊たちは腰から転移結晶を取り出し、シリカはウソだと手で口を覆った。
ここまで来て彼らを逃すリュウヤの意図が分からない。それにこれは依頼のはず。また見つけるのに
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