第十五話 恐れを抱く者
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〇〇ポイント程度。俺は戦闘回復スキルの効果で十秒で九〇〇ポイント以上回復する。どう足掻いたって、お前らにゃ俺は殺せねえよ」
愕然とした様子を見せる盗賊たち。
離れているロザリアたちもその様子を隠せない。
やがて、先ほどウンウン唸っていた男が口を開く。ガタガタと足を震わせ、しりもちをつきながら。
「そ、そうだ……思い出した!龍のピアスにリングネックレス、武器を持たない青いパーカーを羽織った男。……お、おに……《鬼》だぁぁ!!?」
男の悲鳴に近いカミングアウトに一同が不思議そうな顔を見せる中、男は指さす手を震わせながら言った。
「や、ヤベェよ……こいつ、攻略組の《鬼》だっ!」
男の言葉で、今度こそ一同の表情が固まった。それはシリカも例外ではなく、リュウヤの背中を見つめた。
道中の戦闘を見ていて、高レベルなのは分かっていたが、まさかあの《攻略組》のプレイヤーとは夢にも思わなかった。
《攻略組》といえば、前人未到の迷宮へ挑み、短期間のうちにフロアボスを屠り続けている、正真正銘この世界において最強を誇るプレイヤーたちの集まり。
彼らの力はフロアボス討伐にのみ注がれ、中層に降りてくることなど滅多にないと聞いていたのにーーー。
全員がリュウヤに視線を向ける。つい先ほど見せた異様な実力が、彼の素性を裏づけている。
しかし、その中でも怯えの色を帯びる目線をリュウヤへ送る男がいた。リュウヤの素性を明かした男だ。
その真意を理解していたのは、この場でリュウヤ本人ともう一人、シリカだった。
皆一様に《攻略組》の名につられている中で、怯えている男とシリカだけが知っていたのだ。
情報屋でも知らないと答えることが少なくないにも関わらず、彼の行いは等しく残虐と言われている。だから彼の情報を知る者はこう言うのだ。
《鬼》に近づくことなかれ、と。
以前属していたパーティーメンバーが都市伝説のように話していたのを、シリカは怖くて覚えていたのだ。
皆がリュウヤに視線を集めると、リュウヤはため息をもらして一言。
「すみません、人違いです」
身振り手振りでリュウヤは否定した。
普段通りの態度でいるリュウヤがおかしくて、状況を忘れて一人噴き出すシリカ。
ロザリア含め盗賊たちがポカーンと口を開けているのをさしおき、リュウヤは頭をポリポリとかきはじめた。
「いやぁ、よく言われるんですよねぇ。『あんた《鬼》に似てない!?』って。全く困ったもんですよ。ねぇ?」
まるでご近所で話す奥様方のように。
まるで有名人と間違えられるんですよ、的な笑いを取る言い様に。
シリカはおかしさを通り越して呆れかえり、ロザリア一味は口を開けたまま反応を返すことができなかっ
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