第十五話 恐れを抱く者
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ったら言うからさ」
先ほどの恐怖をそそる笑みではなく、明るく穏やかな声でリュウヤは答えた。
ポンポンとシリカの頭を軽く叩いて、そのままスタスタと歩いていく。
強いとは思う。しかし、さすがにいくら何でもムチャだと思い、大声で呼びかけた。
「リュウヤさん……!」
その声が向こう岸に届くと、
「リュウヤ……?」
一人の男が何かを思い出そうと視線を彷徨わせ始める。しかしいっこうに思い出せないのかウンウン唸っていた。
「お前ら、ヤっちまいな!」
それに構わずロザリアが命令を下す。
武器も持たず、ただ橋の上でたたずむパーカー姿のリュウヤに遅れをとるなど微塵も思っていないのだろう。
ロザリアともう一人のグリーンを除いた九人は武器を構えてドカドカと橋の上まで駆け抜けーーー
「ヒャッハァァ!!」
「死ねオラァァ!」
動かないリュウヤを半円形に取り囲むと、槍やら剣やらの切っ先を次々にリュウヤへと叩き込んだ。
同時に八発の攻撃を受けたリュウヤの体はブレる。
「いやあああ!!」
シリカは両手で顔を覆い絶叫する。
「やめて、やめてよ!!」
懇願する声がフィールドに響く。
それが猛り狂った叫びを放つ盗賊たちに届くはずもない。
彼らは狂気と化し、あるものは凶暴な笑みを、あるものは罵りながら次々と武器を叩き込んでいく。
その様子を、ロザリアは抑えがたい興趣の笑みを浮かべながら右手の指を舐めながら、食い入るように見つめている。
シリカはぐいと目じりに溜まる涙を拭い、短剣の柄を握った。
自分が飛び込んで行ったって微力にもなれやしないのは解っている。けれどこれ以上見ているだけなのは自分が許せなかった。
意を決し、抜剣して飛び込もうとした直前、あることに気づいた。
ーーーリュウヤのHPが減っていない。
より正確に言えば、絶え間ない攻撃でわずか数ドット減少しているのだが、すぐさまゲージの端まで回復しているのだ。
すると男たちも異変に気付き始め、やがて攻撃の手を緩め、完全に止まった。
「あんたら何やってんだ!!さっさと殺しな!!」
ロザリアの苛立ちがこもった号令も、戸惑いを隠せない男たちには届かない。
全く倒れる様子のないリュウヤを前に、後ずさりを始める。
「な、なんなんだよ……こいつ……」
異常なものを見る目でリュウヤを見据える男が放った畏怖の感情。彼らの後ずさりはやがて、距離を取る足取りに変わり、九人全員がリュウヤから離れた。
「さてお前ら、気は済んだか?」
ニコリと笑みを浮かべるリュウヤは首をポキポキと鳴らしながら聞いた。その声は呆れを孕んでいる。
「一応、言っておいてやる。お前らが俺に与えるダメージは十秒で四
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