第十五話 恐れを抱く者
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さん、ロザリアさんは、グリーン……」
「オレンジギルドっつったって全員がオレンジなワケあるかよ。中にはグリーンだっているさ。街で食料とかポーションとか買わなきゃなんねえし、情報集めもあるしな。昨日の盗聴野郎なんかがいい例だ」
それに、とリュウヤはつけたし、
「目の前にいるヤツなんかは、街で油断を誘って獲物を見繕い、待ち伏せポイントまで誘導してプレイヤーを狩る。ま、常套手段だわな」
「そ、そんな……、じゃ、じゃあ、この二週間一緒のパーティーにいたのも……」
愕然とするシリカに、ロザリアは毒々しい笑みを向ける。
「そうよぉ。あのパーティーの戦力評価と同時に、冒険でお金が貯まっておいしくなるのを待ってたの。本当なら今日にでもヤっちゃう予定だったんだけどー」
シリカの顔を見つめながら、ちろりと舌で唇を舐める。
「一番楽しみだった獲物のあんたが抜けちゃうから、どうしようかと思ってたら、《プネウマの花》取りに行くって言うじゃない。それ今が旬だから、相場がいいのよー、とってもね。情報収集って大事だと思わない?」
返事を期待しない質問に答えるワケもない。そんなリュウヤに視線を向けて、肩を竦めた。
「で、そこのお兄サン、そこまで解ってながらノコノコ付き合ってやるなんて、馬鹿?それとも本当に体でたらしこまれちゃったの?」
ロザリアの侮辱に、シリカは視界が赤くなるほどの憤りを憶えた。一度だけでなく、二度までも同じことを言ったのだ。
自分に対して、なによりリュウヤに対して。
その感情に赴くまま短剣を抜こうとするが、リュウヤに肩を抑えられた。
「馬鹿はどっちだよクソビッチ。子どもの情操教育に悪いこと言ってんじゃねえババア」
リュウヤも大概だ、と突っ込むことはしない。してまったら何かに負けるような気がした。
「それにな、この子にそんなことできるとでも思ってんの?お前じゃあるまいし……」
肩をひょいと竦めながら呆れたというため息を見せるリュウヤ。
その態度にロザリアが物言う前に、リュウヤが口を開いた。
「実際はどっちでもねえし、俺もアンタ探してたんだよ」
「ーーーどういうことかしら?」
「十日前くらいに、三十八層で《シルバーフラグス》ってギルド襲ったろ?ほら、四人死んでリーダーだけ逃げたやつ」
「ああ、あの貧乏な連中のこと」
指摘されてもロザリアは眉ひとつ動かさない。
「そうそう。その逃げてきたリーダーからの依頼でね、アンタを拘束しに来た。殺しじゃなくてな。よかったねー、殺されなくて。万歳もんじゃん」
リュウヤに深刻そうに話すような素振りはない。むしろ非常識と言えるまでふざけた口調だ。
だが、それにたいして何かを言うことをシリカはできなかった。
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