第十四話 見られたくないもの・聞かれたくないもの
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言った彼は、そのネックレスだけは圏内でも身につけていた。
「あぁ……ま、気になるわな。言ってることとやってること違うし」
リュウヤの表情に困惑や驚きといったものは感じ取れない。いつかは訊かれると思っていたのか、それともシリカが分からないだけか。
「ん〜、お気に入りって言っても納得してもらえないよな、たぶん」
実際お気に入りではあるけどな、とリュウヤはニカっと笑う。
「簡単に言えば……そうだな、『首輪』かな?」
「く、首輪?」
「そう、飼い犬とかにつけるアレな」
予想外すぎる答えにシリカはつい聞き返してしまった。
もっとこう、プレゼントされたものとか、そういう類のものだと言われるのかと思っていたのだ。
それこそ先ほどリュウヤ自身が言った「お気に入り」と断言され、一蹴される方が幾分マシだったと思う。
「はっはっは。そんな予想外だったか?」
リュウヤはシリカの反応をおかしそうに笑う。
「そ、そりゃあいきなり首輪なんて言われたら誰だって驚きますよ」
「まあそうだろうな。けど、コレを一言で表すとそうとしか言えないんだよなぁ」
俺の語彙力の問題かもしれんが、と笑いながらリュウヤは続ける。
「コレは、俺が俺であるためのもんだ。俺っつう存在を忘れさせないためにある。存在意義ってやつだよ」
チャリ、と片手で二つのリングが通されたネックレスをリュウヤは宙に浮かせる。
そして手のひらにのせて、リング部分を握った。
「だから『首輪』だ。飼い犬だって、首輪つけてっから飼い犬だって分かるだろ?それと一緒さ」
特に感情を乗せることもなく淡々とシリカの問いに答えたリュウヤは、その目を空へと向けていた。
その姿は、昨日の夜レストランで見た彼の強張った表情と雰囲気を彷彿させるものだった。
シリカはキュッ、と自身の胸を握った。
きっと、もっと違うなにかがある。けど、それがなにかは分からない。
「シリカには、ちょっと早い話だったかな」
空へと向けていた視線はシリカへと変わり、リュウヤはシリカの頭を優しく撫でた。
「ま、そのうち分かるようになるさ」
そう微笑む彼は、どことなく哀愁が漂っているように見え、大人なんだと思わさせられた。
少ししてリュウヤはシリカの頭から自分の手を離した。それを皮切りにもう一つの疑問をぶつけた。
「あと一つ、聞いてもいいですか?」
「ああ、いいけど、どしたの、なんか積極的だな。もしかして惚れた?」
「ち、違います!」
「そんな全力で否定せんでも……」
不意打ちの発言に思わず大きな声で否定してしまい、リュウヤががっくりとこうべを垂れた。
が、それで落ち込んでいくような人間ではない。すぐに上体
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