第十三話 安心してください、下は履いてますよ
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た穴が暖かさで埋められていく。
もう少し、お話したいな。
知的好奇心でもあり、そうでもない感情に名前をつけることはできないが、ともあれ単純にリュウヤと話をしたかった。
しかし、時刻はもう十時を過ぎている。窓から見える外の景色にプレイヤーの足音はなく、かすかな犬の遠吠えが聞こえる。
そんな時間じゃ迷惑だよね。
そう頭では考えていたのに、シリカはウインドウを操作し所持している中で一番かわいいチュニックを着て、リュウヤの部屋の前に立ってノックをしていた。
通常、部屋の中は音声遮蔽圏であり、何も音を通さないのだが、ノックした三十秒後だけは別で声が通る。
シリカです、と告げるとドアが開かれリュウヤが出てきた。
先ほどまでの簡素なシャツ姿ではなく、タンクトップに、外していたはずのリングネックレスをつけた姿で登場したリュウヤは首を捻っていた。
「どったの?」
「え、あ、えと……その……」
当然の疑問にシリカはしどろもどろになる。ここまで来ておいて、理由を考えていなかったのだ。
なんとか頭を高速回転させひねり出そうとするが中々出てこない。リュウヤの視線が痛くて目も合わせられない。
どうしよう、と必死に悩んでいると、
「そうだ、明日のダンジョンのこと説明してなかったな。どうする?階下で説明するか?」
優しい表情で向こうから理由を出してくれた。渡りに船の申し出にシリカは急いで返答する。
「えっとーーー良かったら、お部屋で……。あ、あのっ、貴重な情報ですしっ、他の人に聞かれたら、マズイかもしれませんし……」
つい出てしまった本音に、とっさの言い訳を被せる。やってしまったと思いつつ、リュウヤの顔を伺うと、少し悩んだ表情を見せたが、すぐに笑みに変わった。
「まあそうだな。んじゃ、入んな」
言われて入った部屋は、シリカの部屋と左右対称なだけで、とくに変わったものはない。
リュウヤが部屋の中央にあるイスに腰掛けたのでシリカもそれにならった。
リュウヤはウインドウを操作しあるものを取り出しテーブルに置いた。
「リュウヤさん、それは……?」
「《ミラージュ・スフィア》ってアイテム。どんなのかは、見たら分かるさ」
言いながらリュウヤは小箱に納められた水晶に触れる。メニューウインドウが出たのでそこにあるOKボタンをクリック。
すると、水晶が青く輝き出し、球体状にマップが表示された。そこに表示されているのはアインクラッドの全体像。木々の一本一本まで再現された、立体的かつ細やかなマップはシステムメニューから見れるマップとの比が違う。
「きれい……!」
穏やかな青い光を放つ水晶と繊細なマップに見惚れているシリカを横目に、リュウヤはマップを操作していく。
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