第十三話 安心してください、下は履いてますよ
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だが、そんな予想と反してリュウヤは顔を強張らせていた。
「……俺は、オレンジとたいして変わらん。なんならオレンジよりーーー」
そこで言葉を切り、ハッとした表情を見せ、破顔した。
「……っと、そんなことより、飯だ飯。デザートも楽しみだ。そうだな、美味けりゃ俺が奢ってやるよ」
「い、いいですよ。自分で払いますって」
「なぁに、美味い店紹介してくれることの礼だ。それに、美味けりゃ、だからな?」
あえて挑発するように言うリュウヤ。
その言い方に少々ムッとくる。自信を持ってオススメするケーキだ。絶対おいしいはず。
「いいでしょう。もし美味しくなかったらあたしがご飯代出します」
「よしその勝負乗った!早く来ねえかな〜」
子どものように料理を待つリュウヤの楽しそうな表情。
それをシリカは我知らず、胸をキュッと握りながら見つめていた。
運ばれてきた料理に舌鼓をうち、食事を終える頃には夜の八時を回っていた。
勝負の結果はリュウヤがおごることで幕を閉じた。随分気に入ったらしくおかわりも頼んでいたほどだ。
二階に上がり、長く伸びる廊下に並ぶ客室のドア。それぞれ自分の部屋に入ろうとすると、偶然にも隣同士だったことが判明。互いに苦笑いを見せ、おやすみと言い合い部屋に入った。
明日のダンジョン攻略のため早めに休むことにしたのだが、もらったばかりの短剣に手を馴染ませておこうとシリカはウインドウを操作し短剣を握る。
いつも使っていた剣とは違い重みがあって少々苦戦したが、なんとか五連撃のソードスキルの発動に成功。その後もしばらく復習に時間を費やしていたがここら辺でいいだろうと思うところで止めにした。
武装を全解除し、壁を叩いてポップアップメニューを出し部屋の明かりを全て消して下着姿でベッドに倒れこむ。
すぐ眠れるだろうと数分、目を閉じて横になる。しかし、今日一日で起きた出来事で心身ともに疲れているはずなのに、中々寝付けられない。
ピナが友だちになってからずっとふわふわの体を抱いて眠っていたから、急に変わった環境に対処できていないのか。
ううん、たぶん違う。
それもそうだろうけど、と思いつつ首を横に振る。
眠れないのはあの青年が原因だ。
何かを言いかけて、止めた時の青年のあの表情。
あれを見てから胸の奥の方にある疼きが一向に消えず、シリカを眠らせようとさせてくれないのだ。
陽気で子どもみたいな一面を持つ彼の、イメージに合わない深い懊悩を抱えた様子が、シリカの目から離れようとしない。
そしてなぜか、それを見た途端胸が締め付けられるような思いを感じた。理由は分からない。ただ、彼のことを考えるだけで胸が切なくなる。同時に心に空い
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