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玉座とはいわゆるデトワーズ皇国の中心部と言ってもいいだろう。
そう、玉座と言うのは最高権力者の、国で一番偉い人だけが座っていい場所である。
実に当然の事だろう。
それで間違いはないだろう。
「(………………間違ってないよね?)」
これで合ってるはず。
はず、なんだけど……自問自答している内にだんだん自信が無くなってきていた。
自分の中にある常識を振り返ってみたが、これで間違っていたら…と思うと気が気でならない。
自分が知っている常識と照らし合わせて間違っていないとすれば、だ。
あの玉座に座っているのは…ただの姫ではなく―――“姫陛下”、という事だ。
“殿下”ではなく“陛下”。
“殿下”とは王子や姫に敬称であると同時に―――“陛下”に次ぐ敬称であるはずなのだ。
つまり、一番偉い人。 あの玉座に座っている姫様らしき人が最高権力者、国王“陛下”という事になるのだ。
「落ち着きましたか?」
玉座に座っている人物の事を認識出来た頃になって、メイドさんが声をかけてきた。
自分をここまで連れてきたメイドさんは、どうやら自分が立ち直るのを待っていてくれたらしい。
そもそもこうなったのは連れてきたメイドさんのせいでもあるのだけれど、そもそも原因は……あの玉座でふんぞり返っている姫様のお呼び出しだからだ。
命令ゆえに連れてきたけど、そこらへん思う所があるからか、メイドさんは自分を気遣ってくれたらしい。
ありがとうございます。
そのわずかながらの心配りをしてくれるだけで、あなたはとても良いメイドさんです。
僕は頷いて応える。
「では参りましょう」
「あっ、はい」
メイドさんの後ろに付いて行き、周りの風景は見ないように努めて、メイド服の後ろ姿の距離感だけを見る。
掃除も行き届いているのか、床も壁も柱もシャンデリアもキラキラしてて直視していないのに眼が潰れそうだ。
でもヘタにキョロキョロして挙動不審に思われないようにしようと、視線ははずさない。
メイドさんの後ろ姿だけに集中していて自分が何歩進んだかわからない内に、その歩みは止まった。
「姫様。 ご要望の方を召喚しました」
「おー」
メイドさんの言葉に対して生返事が返ってきた。
自分はそっと窺うように視線を上げると、その声の主の姿をハッキリと見た。
そして、息を飲んだ。
「―――」
強気な顔付きが僕を見詰める。
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