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広い天井を仰いだ。
視線を上げれば、丸みを帯びた円天井には放射状に芸術めいた模様でちりばめられていた。 材質? 知らないです。
視線を下ろせば、中央に伸びるレッドカーペットを挟んで白亜の支柱がいくつも並んで天井を支えている。 材質? 知らないです。
周りを見渡せば、レッドカーペットに覆われていない石床はやや桃色をさせたまだら模様をしていて、タイル状に並んでいた。 材質? 知らないです。
とにかく何もかも何で出来ているかほとんどわからない空間だ。
“高級”、“高貴”のフレーズが似合うほどに豪華、自分の小市民的感覚はそれを異世界のように感じられた。
人生で初めて…一生に一度、縁があるか無いか…多分縁は無いだろうと思われた場所に、自分はいる。
そう…なぜか僕はここにいる。
面談と称して連れて来られた。
玉座の間、すなわち謁見する空間、この国の最高権力者が座する場所。
この場に自分がいる事自体がありえないほどに場違いである。
「(ああ……吊り下がる煌びやかなシャンデリアにまんべんなく散りばめられたシャンデリアが眩しい…)」
現実逃避気味に天井を見上げて、宝石の集合体のような存在感を主張するシャンデリアが視界に入った。
仕方なく視線を下げると、嫌でも目に入るのはこれまた存在感を主張する玉座が鎮座していた。
「(でかい)」
説明不要―――!
あえて説明するとすれば、最奥で三段ほどせり上がった床にその玉座はあった。
玉座の間で唯一座る事の出来るソレは、大人の背丈を大きく越えて、まるで巨人用の背もたれだ。
とにかくでかい、長い、高い。 存在感に溢れている。
そんな玉座に誰かが座っている。
そこに誰か座っているかなんて分かり切っている。
ただ、自分が思っている常識からしてほんのちょっとだけ意外な人物
「(あれが……姫様?)」
玉座の間に入った所から遠目で、最奥にある玉座に座っている人物の姿が見えた。
大人を縦に五人並べても足りないような高さの背もたれの玉座に座るのは、一人の女性。
いや、女の子と言って差し支えないほど若く、明らかに自分より年下だ。
うん…やっぱり女の子……姫、なんだと思う。
―――しかしだ。
しかしそこは玉座である。
玉座とは何か?
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