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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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は……例のアレをやるつもり、なのか…?」
「私は姫様からお呼び立てるように申し付けられているだけに過ぎません。 …あえて、独り言を()べるのなら……いつもの、でしょうね」

 ファーン伯爵とメイドさんは、自分を抜きに話を続ける。 そしてやっぱり話の流れは掴めない。
 だが、あえて要点を()げるとすれば…姫様、だろうか?

 デトワーズ皇国は王政だ。
 国のが治めるのが王族であるわけだから、この国にはお姫様だっているだろう。
 それでも、やっぱり話の流れは掴めません。

「…強く進言したいが、姫に考え直してもらえるように伝えてもらえないか?」
「無礼を承知でお答えしますが、進言しても無駄で御座(ござ)いましょう。 なにせ、姫様ですから」
「む〜………」

 何をそんなに(うな)ってるのだろうか。
 ファーン伯爵は熟考(じゅくこう)を通り越して葛藤(かっとう)すらしているかのように悩んでいる。

 お偉いさん達なりの苦労というものだろうか?

「くっ…彼を追い返したら、それはそれで後が怖いな。 止むを得ない、か……」

 え、何それ。

 追い返すって…それ、すごく困る。
 これから面談があるのに、追い返されたら人生もろとも生活のピンチになってしまう。

 一体、さっきの会話の中で自分は何を聞き逃したのだろうか。


「……仕方ない、差し出すとしよう」
「恐れいります。 ではこちらへどうぞ、案内します」

 メイドさんは初めて自分の方へ視線を向けた。
 穏やかながらも冷厳(れいげん)で、(つと)めて淡々(たんたん)とした口調で案内を(うなが)してくる。

 なんか、差し出す……とか不穏(ふおん)な事を言ってたけど、僕は何か嫌な予感を感じていた。
 嫌な予感は感じながらも終始(しゅうし)頭を低くさせながらファーン伯爵と護衛の人達をあとにし、メイドさんの後ろをついていった。


―――。


「あ、あの〜…それで、どこへ行くんですか。 面談室?」

 城内に入ってファーン伯爵の姿も見えなくなった頃を見計らい、自分はメイドさんに問いかけた。
 つい見惚(みと)れて話を聞き逃した上、言われるがままについてきちゃったが、そもそも自分は雇われるために面談に来たのだけれど、このメイドさんに案内されていいのか今更ながらに思った。

「いいえ」

 メイドさんはこれに即座(そくざ)に否定した。
 そしてメイドさんは言葉を続けた。

「面談される場所は玉座の間であり、あなたが面談されるのはデトワーズ皇国のトップ―――“エルザ・ミヒャエラ・フォン・デトワーズ姫陛下(へいか)”であります」

「へぇ、そうですか。 お姫様に面談かぁ…――
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