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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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ー!


「エンリコ・ヴェルター・ファーン伯爵様。 恐縮(きょうしゅく)ですが、お話中の申し訳ありません」

 そんな時、救いの声が割りこんできた。

 清廉(せいれん)でとても落ち着いた女性の声が、ファーン伯爵に向かって話しかけてきた。
 その女性の声は丁寧で物腰穏やか…そうなのはわかるが、自分の視界にはファーン伯爵の体が影になって見えていなかった。
 護衛の人達の間を()うように近づいて来たその女性に気付いて、ファーン伯爵は振り返った。

 その時、伯爵の向こうに見えた女性は―――。


「ん、おぉ、君か」
「はい。 御無沙汰(ごぶさた)しております」

 メイドだ。 メイドさんだ!

 色んな呼び方はあるけど、あれは紛うことなきメイドである!


 黒のワンピースドレスに白のエプロンで二色に整ったシンプルなコントラスト。
 作業着である事を追及(ついきゅう)し、女性の服装である事を意識して見苦しくないバランス。
 ワンポイントの特徴でもあり、メイドの魅力の一部として(かも)し出す純白のホワイトブリム。
 スカート裾にフリルが付いているが、手首の袖口にダブルカフスで詰めていて、(うるわ)しくもキッチリとした印象がとても強く感じられる。
 服飾(ふくしょく)は派手にせず余計な部分は排除(はいじょ)しているが、腕に花の意匠(いしょう)をあしらったパッチが()い留められていた。

 イイなぁ。 実にイイ。

 まさかこんな所で出会えるとは思わなかったが、メイドさんという魅力的な存在は、自分の心を大いに癒やした。
 ファーン伯爵と再会した事でガッチガチに緊張(きんちょう)していたのが、今はそれも解れてほっこりする。

「(は〜……イイなぁ。 傭兵人生ではほぼ縁がないけど、メイドさんって見ているだけで和む……)」

 働く女性の中でもメイドという存在は自分にとっては特別華々(はなばな)しく映り、その有り様の(たたず)まいだけで充足感(じゅうそくかん)を得られていた。


「―――と言うわけですので、姫様が直々のお呼び立てです―――そちらの方に」
「なっ…!?」

 はっ…!?
 メイドさんに見惚れていて、つい聞き逃してしまっていた。

 メイドさんとの間でいつの間にか何やら話が進んでいたみたいだ。
 何の話をしていたのかわからないけど、ファーン伯爵も何か驚いているようで、困ったような表情をさせてこちらを視線を向けてきた………え、僕?

 ファーン伯爵はこちらをじっと見詰めていた。

「(…なぜに?)」

 ごめんなさい、聞き逃してしまったので話の流れが掴めません。

 あ、ファーン伯爵が項垂れた。

「まさか、姫
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