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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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なかっただろう。
 ヘタすれば…何とかなるだろう、と能天気に考えて、衛兵辺りに話を通してもらって雇ってもらおうとしてたかも知れない。
 今までそうやって何とか雇ってもらえたのだから、同じやり方で雇われに行ってしまっていたら、正規の手順じゃないから門前払いをくらっていただろう。


 いやホント、知ってると知らないとでは全然違う。
 知らなかったら、傭兵生命と共に人生の門前払いをされる所でした。

 ありがとう、エメリッヒ店主さん! ダンディなだけじゃなくて物知りでいて本当に助かります!


 というわけで、雇用の申請(しんせい)を行ってから更に翌日(よくじつ)の事。

 僕は今、城の前にいます。
 そしてこれから、面談に行きます。




 ―――。

 御立派な城の御立派な門を通った。
 門番の方に簡単に用件を述べ、そこから一般でも入れる正面口から入って、面談する所に行く……その前に、自分は固まったように止まった。



「おや、申請(しんせい)通りに来たようだね」
「―――」

 ………。

「ふむ。 正午を回る前に面談に来るとは、傭兵にしては生真面目だね。 それとも、せっかちなのかな」
「―――」

 …………。

「まぁ、いい。 日程の取り決めだけしていて、細かい時間の指定はしていないのだから早いに越した事はない。 面談の評価に一考(いっこう)されるだろう」

 ……いざ、面談担当の人に会いに行こうとしたら自分を呼び止める人がいた。
 出鼻を(くじ)かれるような形で、城門を通った先で、(そば)で護衛らしき者を数人引き連れた人が存在感を主張している。


「―――…あの……なぜ、ここに……」

 僕は絞り出すようにそれだけのセリフが出せた。
 動揺と緊張に口から顎まで瓦解してしまいそうになる。

 それくらいビビってる。

 目の前にいる人物…それは自分にとっては知らない顔ではない、忘れたなどと言ってはいけない人物。
 この数日の間に一度会った事のある偉いお方だ。



 数日ぶりです、エンリコ・ヴェルター・ファーン伯爵です。



 なんで…そんなやんごとなきお方がここにいるんでしょうか……?


「んん? おかしな事を言うものだね。 私は皇国の伯爵なんだから、その城にいても不思議じゃないだろう?」

 いや、まぁ…確かにそうなんですけど……。

「あ、いえ、あの……それは……」

 ヤバイ。

 何がヤバイかって?
 動揺で体が固まっている。
 緊張で言葉が二の句が出て来ない。

 不意打ちでとっても偉い人に会った事で、自分の小市民的なハートは悲鳴を上げている。
 面談でそれなりの人と出
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