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いざ財布を奪還するためにカウンターへ。
眠っている間に抜き取られたと思われる財布を返してもらうために店主に会わないといけない。
看板娘からの証言により、それを握っているのが店長であると言う事は確認済みだ。
勝手に食べて勝手に眠った自分が悪いとは思われるけど、返してもらわなければ非常に困るのです。
だって、全財産が入ってるんだから!
「おや、生き返ったかね?」
宿屋兼酒場であるこの建物のの一階部へ降りると、昼間と変わらずダンディーっぽい店主が静かに佇んでいた。
ジョッキを磨きながらカウンターの内側に存在するその姿はとても似合っていて、自分を見て別段驚く事なく迎えてくれた。
動揺してばかりの自分とは大違いの冷静ぶりである。
「死んだように眠っていたから心配したよ。 それくらいグッスリ眠っていたみたいだね」
「は、はぁ……驚かせちゃいましたか?」
なにせご飯を食べて倒れたのだから、さぞ迷惑をかけただろう。
「なに、気にすることはない」
しかし…ダンディーな店主はこれを、微笑みを返して許してくれた。
「ここは酒場だ。 酔い潰れる客なんて日常茶飯事なのだから、食い倒れるくらいは気にしてないさ」
「その代わり、倒れたら休憩する場を提供させてもらうけどね。 勿論、お代は前払いで」
ダンディーな店長に次いで、エマが付け加えるようにセリフに割り込ませた。
「お客さんにお酒をたくさん薦めて酔い潰しても、部屋に放り込んでおけばいいし、お金も取れるから結構得なのよ」
「はっはっはっ、お店的にわざと酔い潰してはいけないよ。 酔い潰れるのを止めはしないがね」
まぁ、確かに酔っ払いに…ましてや安酒をジャブジャブと飲むような輩には止めても無駄だろうね。
ヘタに止めたりすると暴れるから勝手に酔い潰れてくれた方が、むしろ楽なのかもしれない。
しかし…その酔っ払いと同様に、食い倒れた自分を部屋に放り込んだという事は……尚更、心の内にあるとても重要な…切実に生活に関わる存在の行方が気になった。
「あの…てことは、僕の財布は……」
重ねて言うが、今は懐に無い財布の中には自分の全財産が入っている。
傭兵として必要な武器すら売り払った上で食糧を買い込んだけど、それなりの生活費が残されているのだ。
装備まで売り払って傭兵としてどうかと思うが、
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