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食べた粥は涙が出るくらいに美味しかった。
「マスターから聞いたんだけど……ご飯食べた後にこの世に悔いが無いような死に顔で寝たらしいわよ」
「……え? 寝たの?」
「マジもマジ、大マジよ。 完食した途端にパッタリと、ね」
……………何をやっているんだろう、僕は…。
そりゃああの粥は人生で一番美味いと思えるほどに、胃に嬉しいものだった。
ほんの少しの豆しか入れてなかった腹に、(誰かさんの涙のせいで)ちょっと塩味が濃かった粥の柔らかくて優しい味に、とてもとても満足して眠ってしまったのだろう。
それはきっと、戦場で携帯食を忘れて戦闘に突入してしまい、戦後に回収してやっとありつけたくらい嬉しい事だ。
…そう言えば、あの携帯食腐ってて腹壊したんだったっけ…思い出してみればそんなに嬉しくなかった出来事だった。
「…それで食い倒れ、か」
「一階にて、客の一部の間ではその話題で持ちきりよ。 よほど面白かったみたい」
「あ〜う〜………」
は、恥ずかしい……一階に降りたくない……。
「ま、それはともかく一階に降りてきたら? 起きたら呼ぶようにマスターに言われてるからね」
「え……いや、それは……下に降りるのはちょっと遠慮したいなぁ…」
「部屋に戻るのは構わないけど、部屋を貸すのはタダじゃないよ。 そっかぁ、マスターに会わなくていいんだね? 食い倒れさんの財布をマスターが握ってるんだけど」
「すぐに行きます、はい」
気付けば懐がなんか軽いと思っていたら…財布抜き取られてたんだ。
粥も食べた事だし、その上で寝てしまった所を放り出さずに部屋で寝かせてもらったのだから文句が言える筋合いはない。
けれど…全財産が入った財布は惜しいのだ。
―――。
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