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ような客の声を置き去りに、彼女は自分と向かい合った。
「え〜と…おはよう、ございます?」
「もう夜だよ! ずいぶんグッスリだったみたいね寝坊助さん」
いい笑顔なのに、遠慮のない毒を吐いてきた。
誰もが認めるような、看板娘に相応しい笑顔をしているのに、口から出てくるのは遠慮とは程遠い口振りである。
多分、酒場という酔っ払いの集まる場であるから自然とそうなったのだろうけど、彼女のような若さでその“慣れ”を身に付くというのはどうなんだろうか?
でも…可愛いため憎めない。
「まぁ、とりあえずおはようって言ったんだから、こっちもおはようって返しておくわね。 ここは初めて?」
「あ、はい。 デトワーズに来たのは人生初、かな」
傭兵稼業の都合上、戦ある所にはあちこち行ってるが、デトワーズ皇国に来たのはこれが初めてである。
ここに来るしか選択肢がなかったとも言うけど……。
「そっか。 私はここの給仕のエマよ、よろしくね♪」
「あ、僕はレヴァンテンです」
エマにわざわざ自己紹介をされて、自分は思わず嬉しくなった。
間近で見てみると、目の前の少女は改めて可愛らしいと再確認する。
ただの酒場の看板娘にしては容姿が整っていて、それでいて笑顔は屈託のなくて人懐っこい印象を覚えた。
その印象と相まって、ブラウスと胴衣とエプロンの三点セットによる看板娘衣装がよく似合い、仄かな色気があった。
首元が開いたブラウスは鎖骨がよく見えるし、胴衣のスカートの下からは綺麗な膝がチラチラと覗かせている。
露出度高めではないが、その若さで服の下から漂わせてくるような色気みたいなものを感じさせた。
見るからに惚れ惚れするほど魅力的だ。
看板娘として彼女が客達から慕われてるのも納得である。
「にしても面白いわね食い倒れさん、マスターから話を聞いた時には思わず笑っちゃったわ」
この毒吐きがなければだがもっとステキだったのだが。
「あの…その食い倒れって何?」
行き倒れ、と呼ばれる自覚はあるけど…困った事に。
「ん? 君、覚えてないの?」
「はぁ…これがさっぱりと……」
「…呆れた。 マスターには聞いてたけど…まさかあのまま寝てたわけ?」
「???」
一体どういう事なのだろうか?
自分が何をしたと言うのだろう…
「私は後からマスター…ああ、この宿の店長兼酒場のマスターね。 覚えてる?」
「あ〜、あのすごくイイ人か」
あの美味しい粥をくれたダンディーさんだ。
よく覚えている。 あの時
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