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でいいかね?」
「こ、これはっ……」
これは……粥……?
光沢を帯びるほどに水気を吸った白い穀物が、器の中にあった。
それは噂で聞いた事がある、極東から流れてきた穀物、“米”というものだ。
麦や果実とも、パンでも無い食べ物であり、水で炊き上げるとふっくらとした弾力へと変化するほぼ無味の穀物だ。
食べた機会に恵まれた事はないけど、ここ最近たまに見かけるようになった。
通常は炊き上げるだけなのだが、そこから更に柔らかく煮たモノを粥と呼ぶ、らしい。
なぜ宿屋などにこんなのがあるかわからない。
だけどそんな些細な事、今の自分には関係なかった。
「い、いただきます!!」
差し出された物に遠慮するわけもなく、ダンディの人がそっと置いたスプーンを握り締め、自分はそれを貪るように食べ始めた。
「もぐっ…はむッ ハフハフ、ハフッ…! むぐっ、もぐっ……!」
熱い。 味が薄い。 でも美味い!
口の中に溶けそうなほどに柔らかくなった米が、無理なく腹の中に入って拒まない。
多少熱くても、腹が減り過ぎて胃が受け付けない事なんて事はなく単純に塩で味付けされたのがシンプルに美味いと感じられた!
嗚呼…これが優しい味というものだろうか……視界がボヤけて来る。
「…ぅまい……美味いよぉ…しょっぱいけど、美味いよぉ」
ポタポタと、塩味のする液体が目から落としながらもそれを食べていく。
ここ数日まともに食べていなかった腹に満腹感が満たしていくのであった。
―――。
「…はっ!?」
知らない天井だ。
いつの間にか意識が途切れた自分が目を覚ました時は、見知らぬ部屋のベッドの上に居た。
「……あれ……ここ、どこ?」
ベッドらしき膨らみから体を起こして、周りを見渡した。
キョロキョロと周りを見るが、ちょっと薄暗がりで窓から差し込む夕暮れも沈みかけている。
部屋が暗くてよくわからないけど…暗くてよくわからないから部屋を出てみようと思う。
ドアの下からは蝋燭の明かりが漏れていて、暗がりの中でも部屋の出入口の場所が見えた。
やけにギシギシと鳴る床の上を歩き、足元を何かで躓きながらも、ドアを開けて外へと出た。
「―――」
「―――」
ワイワイと酒場らしい雰囲気で賑わっていた。
吹き抜けになっている二階の手すりから階下を覗くと、既に酔っ払っている男達が楽しそうに酒を飲み交わしている。
屋内には酒気と料理の芳しい臭いが漂っていて、それに鼻と胃を刺激されて程良い空腹感が湧いて来た。
手すりか
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