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ギュ〜、グルル〜……。
切ないほどに腹の虫が鳴る。
フラフラと足に力が抜けそうになって、立ち止まってしまいそうだった。
道は続くよ、どこまでも。 正確には前と後ろに。
商隊が往復するためにある広い街道は遠く伸びていて、そのど真ん中で自分は蹲った。
「……お腹…空いた…」
空腹に打ちのめされて、食べるものを求めようにも周りを見渡しても何かあるわけでもなかった。
前も後ろも整備された道が伸びていて、既に後にしたデトワーズ皇国のファーン領は既に遠い所にあった。
デトワーズの王都は…まだ見えない。 目の前はまだちょっと坂道になっている丘が視界を占めていた。
食い物どころか、人っ子一人いやしない。
嗚呼…何でもいいから何か食べたい…。
自業自得のようなものだとわかっていながらも、自分の行動が恨めしく思う。
「はぁ〜……なんで、こんな事に…」
自分はレヴァンテン・マーチン。
お仕事は、傭兵。
現在就かれてる仕事(雇用先)は……無職です。
色々あるけど優先すべきなのは、“次の雇い主を見つける”事に尽きる。
ついうっかりたまたま完全に道を間違えてしまい、デトワーズ皇国はデトワーズ皇国でも国内にあるファーン領に行きついてしまった。
なぜかスパイとして疑われて勾留されたけど、ほどなくして疑いは晴れた。
運がよかったのは、そのファーン領の領主、エンリコ・ヴェルター・ファーン伯爵は破格と言っていいほどイイ人であったという事。
―――まぁ、そこまではいい。
そのファーン領の隣はデトワーズ皇国の王都がある。
さほど離れていなくて結構近い所にあって、そこで傭兵を雇い入れているらしい。
ファーン伯爵にわざわざ道を教えてもらい、しかも王都にある宿屋でその人の名前を出せばちょっとお得なサービスをしてくれる、との事だ。
ならば早速とばかりに、パッパと宿屋を決めようかな、と思って浮かれてファーン領を発った…ご飯を食う事も忘れて、だ。
そして現在に至る―――。
うん……他の人が聞いたら、バカじゃねーの、と言われても仕方ない。
「嗚呼…こんな事なら、せめて軽食でも何でも食べておけばよかった」
空腹で頭が鈍っているせいで優先順位が狂ってしまい、その結果が…街道の上で立ち往生である。
おまけに、今はちょうど運が悪いのか誰も通る気配もしない…後ろにファーン領へと伸びる街道からは人影一つない。
これは…もしかしたら……もしかしたらだ…。
この状況って………宿を決めるとかどうとか以前に
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