月下に咲く薔薇 5.
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もしれないが、こう見えても私はじっとしていられない性分でね。できる事なら、今日という日を有効に活用したいと思っている」
「貴方って嘘つきね」
突如割って入たドロシーに、クロウ達聴衆は度肝を抜かれた。抑揚のない女性型アンドロイドのコメントが、見栄を張るロジャーの底から何かを掘り出そうとしているのがわかる。
「ゼロに言い負かされたのが悔しいだけなのに」
「いや、それは。…ドロシー…」
饒舌だった紳士が、窘めようと胸の奥で吟味した言葉の数々をどうにか飲み込んで肩を落とす。
デュオとエイジ、琉菜、クラン、谷川、中原、そしてロジャーのすぐ近くに立つミヅキや赤木達までもが、直後にぷっと吹き出した。
ロジャーとドロシーの掛け合いは、今やこの混成部隊の名物だ。堅物と力任せの間ばかりを往復するロジャーが、ふと別な一面を垣間見せるところは、端から見ていて単純に面白い。
「俺としては大歓迎だ。人数は多い方が、こっちの本気度を黒の騎士団に伝えられるしな」
ロックオンが飛び入り参加を許可すべく、大山に進言する。
尤も、クロウ達はロジャーの説明だけで納得してはいなかった。キラやアスラン達の動機は今もって不明だし、彼等もそれについて進んで話そうとはしない。
「そうね…。みんな、ありがとう。中に入って」
キラのように本来思いをきちんと相手に届ける事を徹底する人間が無口というのは、不自然だ。そこに引っかかりを覚えながらも、大山が有志全員の参加を許可する。
「はぁ〜、何とか間に合って良かった」と赤木が胸を撫で下ろしクロウの後ろに座れば、「かえってまずくないか?」と青山が躊躇いを伺わせつつその隣に座る。「だからこそ、赤木君だけにしておけないんでしょ」と呟くいぶきは1人で。ロジャーはドロシーと、いぶきの後ろにある通路側の空席についた。
一方、同じグランナイツのメンバーを室内に見つけ、斗牙とリィル、ミヅキとエィナが、エイジと琉菜の後ろに。更に窓側の列には、キラとアスラン、シンとルナマリアも着席した。
入れ替わりに、中原と谷川が慌てて会議室を飛び出す。突然これだけの人数が増えたのでは、資料の予備を備えておいたとしても足りる筈がない。
ざわつく様子に、会議室を満たす人数の多さをクロウは実感する。
一夜のうちにZEXIS内部で一体何が起こったのか。ミシェルのバラ騒動に続き、バレンタイン企画の助っ人は今朝になると突然倍以上に膨れ上がった。
勿論、後者自体は一見良い現象と映る。ZEXISとZEUTHの区別なく、傷心のレジスタンス達を元気づけてやりたいと、有志が善意の行動に踏み出しているのだから。
だが、たった1人、メンバーの増加に不服顔で露骨に唇を尖らせている者がいる。
昨夜、些か不本意な形で助っ人を引き受ける事になったグランナイツのエイジだ
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