月下に咲く薔薇 5.
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中原の背後で参加の許可を求めている顔ぶれには、グランナイツのミヅキ、エィナ、リィルの他、先程食堂で別れた斗牙が混じっていた。更には、21世紀警備保障側が意図して外したと思われる赤木、そのお目付役と見るしかない青山といぶきの姿もある。
意外だったのは、キラとアスラン、シン、ルナマリアといったZEUTHの軍属パイロットのみならず、ドロシーを伴ったロジャーの姿までもがある点だ。
確かに彼らもZEXIS内の現状を憂いてはいるのだろうが、「面白そうだから」、或いは「じっとしていられない」を理由に掲げるロジャーやキラ達でもあるまいに。
同じくそれに気づいた大山も、「まさか、貴方までいらして下さるとは」と目線でロジャーを指名し理由の説明を促した。
「…お察しの通りだ。私のいつものやり方では、彼の手助けにはならなくてね」愛用の黒いスーツで身を包み、真顔のロジャーは個人的に行動していた事をここで初めて皆に吐露する。「やり方を変える事にしたんだ。是非とも君達の企画に私達を関わらせて欲しい」
クロウが聞いていても、説得力はそれなりにある。
ロジャーとゼロは、元々人間の持つ感情を言葉で操る事に長けている人種だ。しかも、ロジャーは時としてネゴシエイトで解決する事を放棄するが、ゼロは徹頭徹尾戦術家である自分を戦場で貫く。その分、ロジャーよりも巧みに思考と感情を手玉に取る事ができた。
面会を求め話の冒頭を聞かせただけで、ゼロには論旨どころか意気込みの度合いまでもを完璧に読み取られたに違いない。進行の微調整を直後に全て潰され、結局室内に入る事さえ叶わずに退散したロジャーの姿が目に浮かぶ。
「部屋から出て来なかった頃に比べれば、ゼロは随分と自分を取り戻している。いい傾向だ。虐殺事件の直後は、まるで少年のように内に閉じこもり会話さえ拒絶していたのだから、随分と前向きになったと私は思っている。自分から周りに繋がるドアを開ける気にはなったのだろう」
「まだまだ沸点は低いみたいだけど」
昨夜、激昂するゼロに畳みかけられたばかりの赤木が、前途を案じて注釈を付けた。
「それは私も感じている。おそらく、彼の中に描かれていた何かがそれだけ大きく壊れてしまったからだ」
「何か…って、この際だからはっきり言ってくれませんか? 誰だって一番気にするところなんですから」
肝心な部分を濁すロジャーに、ルナマリアが苦笑いを浮かべ催促をする。
「未来図といったものではないか、と私は見ている。赤木の言う通り、立ち直りかけてはいるが、ゼロの中で未だ整理はついていない。もし彼がZEXISの指揮官でなければ、今はそっとしておいてやりたいくらいだ。しかし、我々は立ち止まる事が許されず、しかも我々は彼を必要としている」
キラが、黙したまま首肯した。ロジャーが続ける。
「意外に思うか
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