1期/ケイ編
K16 助けられる側でも
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学校の施設が生きていれば、そこからリンクして、ここから声を送れるかもしれません」
藤尭の答えで、未来にとっては充分だった。
「緒川さん! 学校の施設を動かすにはどこに行けばいいですか?」
「ここからもう一つ上の階層に、動力炉がある部屋がありますが」
「そこへ連れて行ってください!」
緒川の案内で着いた動力炉がある場所は、出入口が通気口のように小さな穴になっていた。
「この向こうに切り替えレバーが?」
「こちらから動力を送ることで、学校施設の再稼働ができるかもしれません」
すると、未来と一緒に来ていた友人たちの中で、
「あたしが行く!!」
弓美が意を決したように大きな声を上げた。
「大人じゃ無理でもあたしならそこから入っていける。アニメだとこういう時身体のちっこいキャラの役回りだしね。それで響を助けられるならッ!」
「でも、それはアニメの話じゃないっ」
「アニメを真に受けて何が悪い! ここでやらなきゃあたしアニメ以下だよ。非実在青少年にもなれやしない。この先、響の友達と胸を張って答えられないじゃないッ!」
ぽかんと、した。あれだけ泣いて怯えていた弓美が、こんなにも強く訴えて、自ら危険地帯かもしれない場所に飛び込もうとしている。響の友達でいたいからという、理由で。
「ナイス決断です。わたしもお手伝いしますわ」
「だね。ビッキーが頑張っているのに、その友達が頑張らない理由はないよね」
詩織と創世まで。
それが響の親友を自負する未来にとってどれだけ胸を熱くさせたか。
中学時代のことがあったから、リディアン音楽院に進学して、響に自分以外の友人ができたことに不安があった。だが、弓美たちの言葉を受けて、その不安は綺麗に洗い流された。
(この人たちが友達でよかった)
未来たちは全員で、動力炉に通じる穴に入り、匍匐前進した。
案の定というべきか、抜け出た部屋の切り替えレバーは、高い位置に据え付けられていた。全員で入らなければ、あの高さに届かなかっただろう。
一人の肩車では届きそうにない。ならば、と。
未来たちは組体操の要領で、未来と創世、詩織の順で二段ピラミッドを作り、その上に弓美が立ってレバーに手を伸ばした。
「ぐ、ぬぬ…っ、せー…の!」
部屋の灯りやモニターが一気に点いた。
それに合わせて未来たちは全員が態勢を崩して転がった。
しばらくは痛みに全員して悶えたが、やがて成功を実感し、未来は友人たちと笑い合った。
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