A.G.E(アンジェ)
第七話:混沌の訪れ
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斗、腹へったろう? 飯を食え……ズズ、楓子は朝食抜きだ」
言われずとも食べる気であったし、元々楓子を起こしに行く気などさらさら無い。
強引に起こしに行き、こんな事で反抗したつもりとなっても、実際は親父への反撃にはならないし、静かで平和な時間を確保するべく、楓子には暫く寝て貰い、犠牲になってもらう。
「相変わらず厳しいんだから」
「これも楓子の為だ」
「でも……そう言う所もス・テ・キ? チュッ?」
「ブゥーーーーーーーッ!?」
お袋から頬へのキスを受け、親父は盛大にお茶を吹きだした。
普通に汚ぇ。
羆と魔女のやり取りなど見たくもないので、俺は頭ごと目線を下げる。
「ややや止めなさいって優子さん。ほ、ほら! 麟斗も見ているだろう?」
「ウフフ、見せつけてやればいいじゃない。私達によるラブコメ的指導をね」
大分イカれた台詞が―――いや、トチ狂った―――否、馬鹿げた……どれも同じか。
兎に角、頭のおかしな台詞がお袋の口から飛び出して来た。
当然俺はシカトを決め込み、機械油化が酷くなってきたみそ汁をすする。
敢えて言おう……ただ不味い。
「何で目を下げているの? ほらよく見なさいよ麟斗。お母さんはアンタに立派なラブコメ野郎となってもらうべく、京平さんと共に指導しているんだから」
「……」
「お母さんラブコメ好きだし、アンタに漫画みたいな幸せな人生を送って欲しいの。だからそんな風に無視しないで? ね?」
ラブコメ野郎にすべく、熱心な指導を行っている? 断言してやる、そんな指導はいらねぇ。
……だが、言った所で聞きはしないし、訳のわからない反論が返ってくるだけなので、俺は消しゴムのかすを固めてご飯の味を僅かに付けた様な、炊き立ての白米を飲み乾し続ける。
言っておくがこの表現に間違いは無い。本当にそうやって食べているんだ。
「ゲフンゲフン! あーあー、優子さん、とにかく止めなさい」
「まだダーメ? ん〜、チュッ」
「むぅぅぅぅ!? ……ゴホッゴホホッゴホッ! ゲフンゲフンゲッフーーーン!」
見た目は益荒男と手弱女―――正に美女と野獣とでも呼ぶべき、そしておしどり夫婦とも呼べる仲睦まじさに、俺は眉をひそめた。
だが、これも家庭安泰為。我慢せねばならない。
と言うのも親父は勿論、亡き祖父もお互いに羆やら猛獣の如き様相だったのに対し、お袋は当然の事、亡き祖母もこれまた見事なまでの大和撫子且つ目を奪われても仕方無いほどの美人だったらしい。
そんなムクツケき男達が町一番の美人を二代ともに獲得した事から、何時しか内の神社は縁結びにご利益があると、そして縁結びの神が祭
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