A.G.E(アンジェ)
第七話:混沌の訪れ
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をモットーとする親父は寝坊を許さない。だから忌々しそうにしているらしい。
自分が気に食わなければ拳骨、自分のモットーを守れなければ拳骨、怒鳴って脅して言う事聞かせて拳骨……いやはや何とも、こんな生活をよく続けていられるものだ。
兄貴は猫を被り、楓子は能天気だから過ごしていられたのだろうが、俺にとっては良い回避手段が無く、加えて俺にはどうも親父の恐怖は伝わりにくい様で、つい反論してしまい殴られる回数も減らない。
俺ばかりが悪い訳では無い時もあるので、抵抗しきれないのも相まってただストレスがたまる。
まあ、馬鹿正直にみなまで口にして、余計に状況を悪化させる程、俺も命知らずではないつもりだ。
……親父本人としては、品行方正な息子や娘に育てようとしている筈だろうが、その実生まれているのは誇大妄想癖持ちのサディスト(兄貴)、一向に態度が改善されない不良モドキ(俺)、性根の曲がった電波少女(妹)なのだから、とことん空回りしているとしか言いようが無かろう。
「ねぇ麟斗。楓子を起こしてきてあげなさいよ」
ご飯をよそいながら声を掛けてきたのはお袋である吉岡優子。黒髪ロングと額を隠さない髪型が似合い和風美人だが、見た目が四十近くとは思えないぐらいに若く、未だに巫女服が似合う。
中学時代のクラスメイトや知り合いにもファンが多く、正直両方―――お袋へは何故歳を取らないのか、クラスメイトへは何で他人の親にそう言った感情を抱くのかと言う意味で、普通に気色悪い。
更に、兄弟間の扱いを性別で差別しない親父と違って、俺や兄貴には普通でも娘である楓子に甘く、今の言葉も殴られる前に起こして来いと言う意味だろう。
俺は無言で首を横に振り、ご飯を受け取ってすわる。……さあ、今日も今日とて不味い朝飯だ。
「そんな事言わないで? お兄ちゃんなんだから、ホラ」
「……」
尚もしつこく話しかけて来るお袋。
此方へ拳骨やら小言が来る時は止めないのに、楓子の時ばかりに構い、挙句兄貴は望み薄だとか言って、俺に向けて将来を誓い合った相手が如何だの、彼女は出来ないのかだのと口を開いたその都度言い続ける。
しかも夏期講習に行こうとした際も、そんな事せず彼女作ってこいとぬかす馬鹿だ。
そんな生活が続いている上、(俺限定で)まっずい飯を何とか呑み込む覚悟をしている矢先だったのだから、舌打ちしかけた俺は悪くねぇと思う。
悪いとしても、不快に思うぐらいは仕方がないと思う。
「アイツの自業自得だろうが……」
「もう、そんな事言わないの」
「優子さん、麟斗が正しい。ちゃんとしている麟斗が怠け者の楓子の為に手を煩わせる必要はない……ズズ……麟
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