Fate/stay night
1099話
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目の前に現れた女の、突然の言葉。
あんた誰? うん、俺、私、僕、自分は誰なんだ?
思い出そうとしても全く思い出せない。それどころか、何故ここにいるのか……そう思った瞬間、脳裏を何かの記憶が過ぎる。
聖杯戦争……そう、聖杯戦争だ。その聖杯戦争に参加する為に呼び出されたのが英霊で、サーヴァントと呼ばれている存在。
知識にあるものから考えると、つまりこの身体がサーヴァントと呼ばれるものであるのは間違いないらしいんだけど……
「ちょっと! 答えなさいよ。私はマスターなのよ? ほら!」
そう告げ、右手の甲にある部分を見せてくる女。
何やら奇妙な紋章のようなものがそこには浮き出ている。
魔力を感じる以上、それは魔法に関するものなのだろう。
……待て、何でこうもあっさりと魔力とか魔法とかを……いや、魔法? 魔術じゃないのか?
何とか思い出そうとするも、そうすると脳裏を過ぎるのは見た事もないような奇妙な光景の数々。
それでいて、どこか安心するようなところを考えると、恐らくこれが記憶を失う前の光景だったんだろう。
「……ふっ、ふふふ……そう、そこまで徹底的に私を無視する訳。いいわよ、それなら誰がマスターなのかをきちんとその身に教え込んであげようじゃない!」
手の甲へと魔力を流し、令呪を使おうとし……殆ど反射的に口を開く。
「待ってくれ! 悪いが自分の事も完全に分かっていない状況だったんだ。令呪を使うまでも……令呪? 令呪ってのは……サーヴァントに対する3回の絶対命令権?」
「……? そうよ、当然の事じゃない。何を言ってるの?」
「だから、今も言ったように自分の事も完全に分かっていないんだ。それこそ記憶が混乱して」
そう告げると、女は何かに気が付いたかのように息を呑む。
「もしかして……召喚の時のミスが……まさか、あれだけ宝石を使ったのに……嘘、じゃあもしかして……」
何か信じられない……いや、信じたくないとでも言いたげに、この部屋に入ってきた時と同様、頭を抱えて唸っている女。
こうしてみると、美人なのに勿体ないな。
ちょっと胸は小さそうだけど。
先程自分の事を思い出そうとした時、一瞬脳裏を過ぎった桃色の艶然とした微笑を浮かべていた女の巨大な胸の谷間を思い出しながら考えていると、女の動きがピタリと止まる。
同時に、こちらを据わった目つきで見据えてくる。
一瞬背中にゾクリとしたものが走ったけど、すぐに女は気を取り直したように口を開く。
「まぁ、いいわ。こっちのミスだったみたいだし。それよりあんた、本当に自分の事を何も分からないの?」
「ああ。俺? 僕? 私? 自分の事を何て言っていたのかすらも思い出せない」
「……本当に、何でこんなのを呼び出しちゃったの
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