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ウイングマン バルーンプラス編
1 3人だけの戦い
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なって、動けなかった。
「何で、こんなに野次馬がいるわけ? 暇なの?」
思わずぼやいてしまった。
お蔭で2人は完全に動きを封じられていた。



「ちょこまかとすばしっこいヤツだ」
桃子の動きはバルーンプラスの想定外だった。
攻撃より避けることに集中できた結果だった。
ちょこまかと動きながらディメンションビームを手から放つ。
しかも、素早い。息つく暇ない連続攻撃のようだ。しかし狙いは荒い。
怪人も素早くその攻撃を避けた。
桃子としてもなんとかダメージを与えたい一心だったが、逃げつつ、正確な攻撃というのは難易度が高かった。それに、当然、一般の人を巻き込むわけにはいかない。そこは第一優先でビームを放っているので、なかなか狙いが定まらない、というのもあった。
「それはこっちのセリフよ! 何で当たらないの!」
桃子も言葉だけは威勢がよかった。もちろん、狙いの荒い自覚はあったが、まったく当たらないっていうのは、なんか納得できなかった。
それに、これだけバルーンプラスに攻撃を避けまくられるとだんだん焦りも増してきた。
予定していたアオイたちの援護も来ない。そのことも桃子の焦りを加速させていた。
「アオイさん、早く〜っ!」
そろそろ自分だけでは限界が近かった。
アオイたちの様子をチラ見してみたが、全然状況は好転していないようだった。
2人の前にはまだ、ちゃっかりギャラリーがいたのだ。
アオイも当然、桃子のことは気になってはいたが、どうにもギャラリーが邪魔だ。
「もう、なんでやらしい人がこんなにもいんのよっ?」
桃子の動きにも多少、疲れが見える。こうなってくると、敵に追い詰められるのも時間の問題に思えた。
とにかく、いつまでもこんな状態で釘付けになっているわけにはいかなかった。
その焦りからアオイはついに、しびれを切らしてしまった。
「おおっ!?」
アオイと美紅の2人に注目していたギャラリーが歓声を上げた。
アオイは両手で押さえていた胸の片手を上に掲げ、ディメンションビームを放ったのだ。
その反動でバランスを崩し、豊満な胸がこぼれ落ちそうになった。
しかし、なんとか持ちこたえた。今回はとりあえずセーフだ。
目を皿のようにして注目するギャラリーからはため息がこぼれた。
アオイはバルーンプラスを追いかけた。
そして、アオイのポロリを期待するギャラリーはアオイの後を追いかけた。それはステージ前にいたギャラリーの約半分だった。
それでも美紅の前にはまだ何人かは残っていた。
少なくなったとは言え、美紅はまだ顔を真っ赤にして立ち上がることもできなかった。


「待ちなさ〜いっ!」
アオイの声が桃子の耳に届いた。
美紅はまだ戦える状態ではなかったが、それでも1人援軍が増えた今がチャンスだと桃子は考えた。

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