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ウイングマン バルーンプラス編
1 3人だけの戦い
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1.
年も明け、新学期が始まった。
健太たちのにとっては平穏な日々が続いていた。
ただ、それはあくまで敵が襲ってこない、という話であって、健太にとってはまったく平穏ではなかった。
受験が日に日に迫ってきているのだ。
夕島高校の受験まであと何日もない。
模擬試験の結果を見ても、夕島高校に受かるレベルまではまだまだ達していない。
しかし、美紅にレベルを落として、一緒に仲額高校に行こうとは言えない。
自分が頑張らなければいけないのは明白だった。
授業が終わると、健太は勉強をするために、一目散に家へ帰っていった。

「すごいね、リーダー」
猛スピードで走って帰宅する健太の姿を、桃子は呆気にとられていた。
「あれだけ頑張ってるんだから受かってほしいな……」
美紅はその頑張りを自分への愛情だと感じて、少しうれしくもあった。

「ねえ、美紅ちゃん、何か食べてこうか」
健太の後姿を見つめる美紅に桃子が声をかけた。
最近は、美紅と桃子の2人で一緒に帰ることが習慣になっていた。
健太が受験勉強に頑張り始めてから、美紅と桃子は急速に仲が親密になっていった。
今まで健太と一緒にいることが多かった美紅は、健太が勉強に集中することで急に手持無沙汰になってしまった。
そんなときに桃子が声をかけて、それから一緒に帰るようになったのだ。
2人は普通の女子中学生のように、今日の出来事などの話をしながら帰っていた。
別のクラスだったが健太の話やらセイギマンのメンバーの話など共通の知人も多く、話は盛り上がって、2人にとっては楽しい時間だった。
いつもなら一緒に途中まで帰るだけなのだが、今日は違った。
桃子は何だか気分がよかった。それを終わらせてしまうのがもったいないと思っていた。
それで美紅に寄り道を誘った。
もちろん、友人の提案を美紅が断るわけもなかった。
街に向かって話をしながら歩き始めた。
少し経ったところで、後ろから声が聞こえた。
「美紅ちゃん、桃子ちゃん!」
振り返るとそこにアオイの姿が!?
「あ、アオイさん!」
「ど、どうしたんですか?」
2人とも驚きを露わにした。声まで裏返っていた。
ちょうどアオイの話をしていたところだったのだ。別にやましいことを言っていたわけではなかったが、噂をしていた本人に声をかけられるなんて思ってもみなかった。
アオイの通う仲額高校の近くを通ることはわかっていたが、アオイに会うことは想定していなかった。
アオイからすれば、たまたま学校帰りに2人の姿を見かけたので、後を追いかけただけだった。しかし、あまりの驚かれっぷりにアオイも少しひるんでしまった。
「いや、別に……2人を見かけたから声をかけただけなんだけど……」
帰りにアオイに会ったのは、桃子も美紅も初めてではなかった。しかし、2人
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