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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第198話 戦う勇気
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いる。その姿までは見る事は出来ないが、間違いなく目に映っているのは、その右手に握られたモノ(・・)

 この世界では、悪夢の兵器(五十四式・黒星)。……現実世界では、曇ったガラスのシリンダー、そしてその先端から伸びる銀色の針――致死性の液体を満たしたもの。

                                                               
 そう、注射器。



 それを完全に認識した瞬間。シノンの中の世界が再び反転した。
                         
「い、いや、いや……っ」
                       
 シノンは、ぎしぎしと強ばった首を動かし、呻いた。そんな中でも、その針は、注射針だけは、はっきりと見えた。その先端から、液体が出ているのも。……自分を殺しうる液体が出ているのを。
                
「いやよっ……、そ、そんなの……っ」
                
 恐怖、どころではない。そんな生易しいものではない。激甚な拒否反応が身体中を駆け巡る。全身が震える。感覚がなくなっているのに、震える事は止められない。

 動く事も出来ない無力な自分の身体を、間近で見知らぬ人間が見ている。

 これまで、他人は敵だと決めつけ、他人との関わりを絶とうとしてきた誌乃。なのに、今、まさに今 誰かがそばに、いやそれだけじゃない。その凶器(注射器)を構え、突き刺す場所を探しているかもしれない。

 不意に喉の奥が塞がるような感覚とともに、呼吸が一切できなくなる。

「あ、ああ……っっ」

 この感覚は、あの時(・・・)と同じか、それ以上のものだった。
                                             
 



 あまりの恐怖から、時間が逆行して、また幻視が起こった。





――これ、は。


 空気を求めていた筈だったのに、その空気を必要としていた筈なのに、苦しい筈なのに、それをも 忘れて見入っていた。

 そこには、あの《死銃》がいた。……そこは 街の路地裏。

 いや、死銃だけじゃない。……あの女達(・・・・)も、一緒にいたんだ。

 その女達とは、《遠藤》 高校生活で、自身を孤立へと追いやった超本人だ。そしてその取り巻きの女達。かつて、自分が友だと思っていた相手だった。
 薄ら笑を浮かべている。まるで、悪魔の様な笑みだった。その笑みは伝染するかの様に他の2人も同じ様に笑っている。

 そんな中で、遠藤は銃を、兄から借りてきたと言う銃をこちら側に向けてきた。

 シノン(・・・)ではなく、|誌乃《・
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