008話
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いだろう、ならば同じ人間を殺した場合は如何だろう。同じ存在を殺したとすれば罪の意識を感じるだろう、特に元は一般人だった彼からすれば余計に。
蹲り地面を強く殴りながら涙を流すジーク、倒すべきものを倒して初めて理解してしまった戦いと言う物の重さ。命のやり取り、自分と相手の全てを賭け生か死しか齎さない、たった一度与えられた命という名のチャンス。それを無くすか活かし続けるか、それがこれから自分が進もうとしている道だ。自分が奪った命を重みを、身体に、心に刻み込んで生きていくしかない。そう決めても心のしこりが取れる訳ではない、重い足取りのままヴェストリへと向かうのであった。
「あ〜ジーくぅぅうん!!」
重すぎる足を動かしヴェストリに着く頃には既に夕方になっていた。入ると直ぐにやってきたのはドロシー、突撃してくるドロシーを受け止めるジーク。そして何時もと同じように強く抱きつきながらキスをしようとするドロシーだがジークの異変を感じ取った。
「……ねぇスノウ」
「何ドロシーさん?」
「なんかジーくん疲れてるみたいだから端っこで休ませてくるわね!暫くはそっとしといてね!」
「解りました〜あっエドちょっと手伝って」
「はい姫様」
スノウの了承を取りながらいまだ口を開かないジークを連れて村の外れの岩場へと連れ込む。周囲の岩が壁のようにそり立つ地形、余程入念に探さなければ見つかる事はないだろう。
「此処なら大丈夫そうね……ねぇジーくん、一体如何したの」
「………」
先程からずっと黙り込んでいるジークを酷く心配するドロシー、今まで見たことがないようなジークの表情と瞳。満ちているのは虚無感、それだけ。
「(心が……ごめん、無理矢理っぽくて気が引けるけど許してね)ディメンションARM ハートシー」
懐から取り出したハートの形をしたARM、それは対象とした人間の心を除き見る事が出来るディメンションARM。これを使う事で本来覗く事が出来ず、形になる事もない心を見る事が出来る。
「………っ」
ジークの心に入り込み何故こうなってしまったのかを見ていくドロシー、そして同時にジークがチェスの駒と戦っていたときの光景を目にする事になった。深く深く焼きついている戦いの記憶、初めて人の命を奪い取った、それが彼の心を蝕んでいる理由だった。
「そう、だったんだね………」
「ドロシー、俺の心を、見ているのか………?」
「うん、ごめんね勝手な事しちゃって」
「いや、いいよ……」
ARMを仕舞いジークを座らせその隣に座る。彼の気持ちは解る、人の命を奪うのはそれだけ重い事だ。
「ジーくん、私ちょっと安心しちゃったんだ。氷の城ででもチェスの駒相手に無双してた時に、もしかしてジーくんって人を殺す事に何も思わないんじゃない
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