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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
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うから、ファーン伯爵の言う通りより詳しく教えてもらえるかもしれない。
 宿屋の主人と知り合いなのはすごい事なのか地味な事なのか…よくわからない微妙なラインっぽいような気もしたけど、そう考えれば確かにお得、自分にとって優遇(ゆうぐう)と言ってもイイくらいだ。

「えぇと…お心遣い、ありがとうございます。 この度は………」
「言葉に()まるくらいなら、無理しなくてもいい。 この話はここまでにしよう、傭兵として雇われる事に関しては向こうでうまくやってくれ。 それと…さっきから冷や汗がすごいぞ?」

 わかりますか? うん、わかりますよね……。
 ちゃんとした言葉遣いが頭に浮かんでこないせいで、頭の中がグルグルしている。
 多分…緊張の汗とは違う別の汗が流れているんだろう。

「さて…あとの事は君自身の方で何とかしたまえ。 ああ、そうだ。 一応()いておきたい事があった」

 何だろう?
 伯爵様が自分に何か訊くような事ってあったっけ?

「武器はどうしたのかね? 武器の類はなかったと報告は聞いたが」

 あっ……それ、は―――。

「絶対無い…とは言い切れないが兵の者が勝手に押収(おうしゅう)したりしてないか? もしそうなら、返すように取り計らうが」
「無いですよ」
「えっ」
「えっ」

 自分の返答に伯爵様は目を瞬かせた。
 柔和(にゅうわ)ながらも(おごそ)かな雰囲気をさせていたのが、人間味のある呆れたものに変わった。

 いえ…ですから、本当に持ってないんです……。

「…………」

 伯爵様の沈黙が痛い。
 ホント勘弁してください…その“何それ?それで傭兵なの?”という目で見られると辛いです。
 武器も要所要所の防具も(ドゥエ)()えて食料に注ぎ込んで、そして無駄にしてしまったんです…。

「……君は、傭兵として始めるには色々多難(たなん)になりそうだな」


 ……心の底から面目ありません。




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