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恐縮至極《きょうしゅくしごく》に存じます、と言うべきだっただろうか?
ちゃんとした礼儀などといった通例を知らないものだから、やらかしていないか内心でビクビクする。
ついつい言葉数が少なくなってしまい間が持たなくなってきたのか、ファーン伯爵は言葉を続けた。
「詫びのついでとしてなんだが、君は確かこのデトワーズ皇国に雇われに来た傭兵だったな?」
「あ、はい。 一応そのつもりで」
「ならば、だ。 軽くだが、どこでどう雇われるか私が説明しよう」
それはありがたい。
デトワーズで傭兵として雇われよう…そう思っていたのに、辿り着いた先が国内の別領で、ここでは傭兵を雇っていないと言う。
この時点で計画性は破綻しているため、少しでも情報なり手順なり得られるなら是非とも教えてもらいたい。
なにしろ、今の自分は…最低限の防具以外ろくな装備もないので…。
「このファーン領で最も大きい門がある。 そこは商人も主に使っていて、そこから整備された道を辿っていく王都デトワーズに辿り着く、ここまではわかるな?」
「はい。 門を出て…道を真っ直ぐ、ですね?」
「うむ。 ちょっと丘を超えればすぐに見えてくるから半日あれば王都デトワーズに辿り着くだろう」
やっぱり小国だから隣村に行くような道程で、この領と王都はかなり近いようだ。
商人が使ってるという情報もありがたい。 あの森を抜けるのと比べたらきっと天国のようなものだ。
「そ、それで…雇われるために特別な事ってあるんでしょうか?」
これだけは聞いておかないといけない。
傭兵として雇われるのは生命線だ。 もしこの国独自のルールとかあって、それを知らずに破ってはたまったものじゃない。
「まぁ、待て。 そこまで説明するのは少々長くなるだろう、そこまで面倒見る事は出来ん」
……ですよねー。
自分は傭兵で、相手は伯爵様。
道を教えてもらった上に、説明までさせたら贅沢を通り越して無礼になる。
面倒見てもらえない事に文句なんて出るわけがない。
「その代わりにだ……私から口利きをしようと思う」
おお?
「口利き…ですか?」
「うむ。 ここから発ってデトワーズに辿り着けば、王都外れに建っている宿屋が近くにある。 そこの主人は私の知り合いなんだ」
「知り合い、ですか」
「そこで私の名前を出せば、お得な対応で泊まらせてくれるだろう。 勿論…この皇国で傭兵として雇われる事もな、私より詳しい説明をしてくれるだろ」
なるほど。
よそ者からすれば――特に何日も野宿した自分としては――宿屋といのは絶対お世話になる施設だ。
王都で宿屋をやっているのなら、より近い所の方が色々詳しいだろ
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