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るか、もしくは海路を渡って入念なチェックを受けて入るか、だ」
手続き…。
他の国では市民として市民税を払うか簡単に身分を証明するぐらいしかしないのに、デトワーズ皇国では入国するだけで手続きが必要になるとは知らなかった。
この時から、嫌な予感がしてきた。
「基本的にこの森を抜ける者は滅多にいない。 つまり大街道を通ってファーン領に入る事はなく、山を抜け森を通るのは大抵が後ろ暗い類の者が使う非正規手段となり、デトワーズ皇国では密入国という形になる」
「み、密入国…?」
「そうだ。 このファーン領に入るには、デトワーズの王都で手形を発行してもらうか商人でなければ入る事はないのだ」
冷や汗が止まらない。
手形なんて持ってるわけがなく…商人どころかしがない傭兵に過ぎない自分だ。
つまり…このファーン領にいる自分は…。
「え、えと…って事は…自分が勾留されたのって…」
「あの山林を連絡なしに越えて来たとあっては、例え事情があっても拘束しないわけにはいかなったのが理由だ」
「あ……ぁ…ぁ―――」
密入国…すなわち犯罪。
知らず知らずの内に、自分は犯罪者となっていて、国外に逃げようにもそんな金もなければ力もない。
こんな偉い人に知られてるとなると、もはや逃げ場なんてない立場になっていた事に愕然とする。
ど…どうしよう………いつの間にか、僕は逃げられない所に来ちゃってる……!?
「ぁ、ああ…あの…そのっ……!」
「済まないな、青年」
もう一度床に這い蹲って土下座をしようとした矢先、伯爵は自分に謝ってきた。
貴族が庶民に詫びを入れるなんて、驚きの余りに出鼻を挫かれた。
「国防のためゆえ問答無用で勾留するのは、君からすれば迷惑な事だっただろう」
「そ、そんな事は…(無い、とは言い切れないけど…酷い扱いを受けてないし、豆の人に恵んでもらったし……あれ? それほど迷惑でもない、かな?)」
「誰彼構わず、というわけではないのだが、何しろ森を抜けてくる者というのは一部を除いてとても珍しい事なのだ。 しかし、決まりとはいえそんな理由で不当に勾留されては、君も文句を言いたい所だろう」
あ、いえ…文句だなんてそんな…。
正直そんな事は些細な事で、貴族相手に文句を言うなんて怖い事出来るはずもなかった。
食糧を買い込んで、デトワーズに向かって単身森の中を抜けようとしたお間抜けはこっちなのだから、それで文句を言ったら色々ダメだと思う。
「非公式だが、堅苦しくないこの席で―――ファーン領伯爵として謝ろう」
「あ…はぁ……恐縮です」
ん…? この場合、|
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