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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
03
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うしかなかった。

「どうか! どうかお命だけはお助けをー!」


 ―――そんな珍事からややあって。


「落ち着いたかね?」
「は、はいぃっ…」

 いいえ、まだ恐縮してます。

 今はファーン伯爵と、部屋に置いてある椅子に座って、テーブルを挟んで向かい合っていた。
 土下座をやめて、伯爵と同じ目の高さで同席していて、内心ビビリまくっている。
 ファーン伯爵が御自ら床に膝を付けてまで土下座を止めさせてしまったのだから、座りたまえ、と言われて座らないわけにもいかず、裏目に出たかもしれないと思って内心穏やかではなかった。

「今日は仕事に合間を作ってこの場を(もう)けたため、忙しい事を理由に面倒な挨拶も簡略(かんりゃく)しよう。 その方が幾分(いくぶん)か気楽だろう?」
「は、はいぃっ」

 さっきと同じような返事を返す。
 気まで(つか)わせてしまっている……恐縮(きょうしゅく)の度合いは増していくけど、貴族に対しての挨拶など経験のない自分にとってはそれはありがたい申し出だった

「では、改めて自己紹介するとしよう。 私はエンリコ・ヴェルター・ファーン伯爵だ」
「じ、自分は…レヴァンテン・マーチン、です」
「うむ、傭兵であるとは聞いている」

 本当にこれだけで自己紹介が終わった。

 目の前の貴族…ファーン伯爵はそれほど気難しい人ではないらしく、傭兵だと知っていても見下さないその態度にほんのちょっぴりだけ暖かいものを感じた。
 土下座までした自分に鼻で笑わないのもとても好印象だ。

 緊張でガチガチになっているのには変わらないけど…。

「さて…早速だが、君を勾留(こうりゅう)した件について話そう」

 ファーン伯爵から切り出された話題にドキッとした。
 何しろ自分が捕まった理由なんだから、気にならないわけがない……考えたくはなかったけど。
 なんでスパイだと疑われたんだろう…。

「デトワーズ皇国が傭兵の募集をしているのは確かだ。 だがそれをしているのは、デトワーズの王都であって、このファーン領ではないのだ」
「は、はぁ…」
「デトワーズの地理は知っているかね? 森と山と海に囲まれた閉鎖的な土地だ―――それ故に入国する方法は多くない」

 そう、デトワーズ皇国は小国だ。
 森と山と海に囲まれていて、攻めるに難しい土地であると同時に、領地もとても狭いから小国という扱いになっている。
 地図を見た上での個人的な印象だ。

「えと…おおまかな入国ルートは海路と、ただ一つの陸路…ですよね」

 そのただ一つの陸路を使わずに、自分は森を抜けてきたけど…。

「正確には入国する手段は、入国税を払って正規の手続きを踏む大街道(だいかいどう)から入
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