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歴は掴めたよ』
さっきの初老の声よりは若く、ダンディーさを醸し出す落ち着きのある声がした。
最初の人と年の差が感じられるけど、こっちはこっち只者ではない落ち着いた口調が印象的だ。
尋問室の前で何を話しているのやら、と気になっていたら、ダンディーな声は言葉を続けた。
『傭兵の間ではちょっとした知れた名前らしくて、思いの外早く情報が入った』
傭兵の間って…まさか……もしかしなくても、もしかして……。
自他ともに認めるほど鈍くても、話してる内容が何なのか段々と察しがついてきて、こめかみに冷や汗が伝った。
『噂か…確か、レヴァンテン・マーチンと言ったか…どこの国に雇われたと思う?』
『いや。 噂と言っても黒い方面じゃない、残念な噂ばかりだ』
『残念…か?』
『ざっくり言えばヘッポコって奴だ、ちょっと同情しそうなくらいにな』
はぅっ…! 僕への悪口が痛いほど心に突き刺さった。
『一応訊くが、誹謗中傷の類という線は?』
『無いな。 事実無根ではなく、実績のある残念ぶりだ。 “セクァレノン”と敵対国の間で起きた先の小競り合い…あれは覚えてるか?』
『魔法共和国の、か? 確か、魔法技術の利権を奪おうとしての抗争だったな』
それを聞いて自分は、少なくはない知識から概要を引き出した。
魔法共和国セクァレノン……名前の通り魔法を使う国であり、剣や鎧を使う兵力とは全く違う系統の勢力。
魔法という他国にはない強みで成り立っていて、日常から兵器に至るまで魔法という技術を使っているのだとか。
その特性上、魔法を扱う者で組織されているため…傭兵を雇う事もなければ、その必要もない。
だからそこで雇われた事はない……だけど、確かアレって…。
『そこでセクァレノン側は新開発した攻性魔法の試し撃ちとかあったらしいが…逃げ遅れて死にかけたらしい』
い…嫌あぁぁっ!
思い出したぁ! 思い出したくないけど、思い出しちゃったぁ!
嗚呼、魔法が後ろに…後ろにぃ!?
以前、威力偵察と言うピコ役の部隊に数合わせ参加した時、その標的として狙われた事があり…その魔法の威力はその身を以て知っている
痛い記憶で身悶えそうになりながらも、扉の向こうで話は続いた。
『何だそれは…笑い話じゃないか』
『そう、笑い話にしかならないね。 決して有能ってわけでもないし、特殊な訓練を受けたわけでもない…実際、散々な言われ様だ』
ダンディーの人の言う通り…どうしようもないほど散々言われてる事である。
ヘッポコ…悪く言えば“役立たず”が代名詞になるほど、雇われた後でそれはよく言われるけど
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