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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
02
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「ひぃー! 本当に知らないんですー!」


 現在、詰め所で絶賛(ぜっさん)取り調べ中だった。

 大勢の衛兵に囲まれて、連行されるように連れて来られた詰め所の狭い一室。
 壁は頑丈な作り、光源は窓と蝋燭(ロウソク)といった最低限の明るさ、椅子と机しかなく、尋問(じんもん)するための用途にしか使われないよう部屋。

 最初入った時、まさに尋問室(じんもんしつ)である事は一目見てわかった。 そして挙動不審(きょどうふしん)になるほど動揺した。
 わけがわからずここまで押し込められて、自分は震えながら取り調べを受ける事になった。

 取り調べと言っても自白させるとか、尋問(じんもん)拷問(ごうもん)に変わってるのだ、とかそういった苛烈な事はしてない。
 むしろとても温厚で、ただ色々と質問攻めされていた。
 名前とか出身地とか傭兵歴とか、初恋の相手がいてそれが実ったのかどうとか…。
 関係のない質問が混じっていて、それにすらつい答えてしまった…うぅ、恥ずかしい……。


 ―――しかし、だ。 

 いきなり連れて来られて尋問されて何だけど…怖いと思いながらも、あまり不愉快には思っていない。

 なにしろ、この扱いはむしろ有り難いくらいに穏便だからである。
 これと比べれば、戦場で置いてけぼりにされた挙句、捕虜になったあの時なんて…うぅっ…あまり思い出したくない。
 あの時と比べれば全然痛い事をされないんだから、この扱いはむしろ天国と言ってもいい。

 そう、天国だ……食べ物を食わせてくれたからね!
 最初の内は質問攻めを受けたけど、しばらくして顔を机に突っ伏して盛大に腹の虫を鳴らした。
 おぼろげながらも、自分は死にそうな声をさせながらこう言ったそうな…。

 ―――お願い……何でもしますから…何か食べさせて、と。

 我ながら情けない事この上ないが、尋問する人の一人が涙を浮かべる憐れんだのか―――豆だ…食え。と、ぶっきらぼうに言って、間食(オヤツ)用の炒り豆を恵んでくれたのだ。
 それを涙ながらに噛みしめた。 本当に…本当に、有り難い事この上なかった。


 さて……そんな風に、尋問(じんもん)とは言うものの、ただ質問に答えるだけものだった。
 それなのに、なぜ自分はこんなに必死になって否定するほど狼狽(ろうばい)しているかと言うと、だ…


「だから本当に、他のスパイとかじゃないんですってー!」

 そう、スパイ。
 回し者、枝、間者……言い方は色々あるけど、まさかそんな疑いをかけられているとは思わなかった。

 情報の大切さはわかっている。
 相手国の情報であれば大勢を左右すると言われる…それがスパイとしての役割。
 噂でしか聞いた事がな
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