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「ひぃー! 本当に知らないんですー!」
現在、詰め所で絶賛取り調べ中だった。
大勢の衛兵に囲まれて、連行されるように連れて来られた詰め所の狭い一室。
壁は頑丈な作り、光源は窓と蝋燭といった最低限の明るさ、椅子と机しかなく、尋問するための用途にしか使われないよう部屋。
最初入った時、まさに尋問室である事は一目見てわかった。 そして挙動不審になるほど動揺した。
わけがわからずここまで押し込められて、自分は震えながら取り調べを受ける事になった。
取り調べと言っても自白させるとか、尋問は拷問に変わってるのだ、とかそういった苛烈な事はしてない。
むしろとても温厚で、ただ色々と質問攻めされていた。
名前とか出身地とか傭兵歴とか、初恋の相手がいてそれが実ったのかどうとか…。
関係のない質問が混じっていて、それにすらつい答えてしまった…うぅ、恥ずかしい……。
―――しかし、だ。
いきなり連れて来られて尋問されて何だけど…怖いと思いながらも、あまり不愉快には思っていない。
なにしろ、この扱いはむしろ有り難いくらいに穏便だからである。
これと比べれば、戦場で置いてけぼりにされた挙句、捕虜になったあの時なんて…うぅっ…あまり思い出したくない。
あの時と比べれば全然痛い事をされないんだから、この扱いはむしろ天国と言ってもいい。
そう、天国だ……食べ物を食わせてくれたからね!
最初の内は質問攻めを受けたけど、しばらくして顔を机に突っ伏して盛大に腹の虫を鳴らした。
おぼろげながらも、自分は死にそうな声をさせながらこう言ったそうな…。
―――お願い……何でもしますから…何か食べさせて、と。
我ながら情けない事この上ないが、尋問する人の一人が涙を浮かべる憐れんだのか―――豆だ…食え。と、ぶっきらぼうに言って、間食用の炒り豆を恵んでくれたのだ。
それを涙ながらに噛みしめた。 本当に…本当に、有り難い事この上なかった。
さて……そんな風に、尋問とは言うものの、ただ質問に答えるだけものだった。
それなのに、なぜ自分はこんなに必死になって否定するほど狼狽しているかと言うと、だ…
「だから本当に、他のスパイとかじゃないんですってー!」
そう、スパイ。
回し者、枝、間者……言い方は色々あるけど、まさかそんな疑いをかけられているとは思わなかった。
情報の大切さはわかっている。
相手国の情報であれば大勢を左右すると言われる…それがスパイとしての役割。
噂でしか聞いた事がな
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